【文スト】敦くんの妹ちゃん

26話 【過去編】 ページ45

男「！餓鬼が！待ちやがれ！！」


男が追いかけてきた。

きっと、警察に通報されるのを恐れ、口封じと

して、私を殺す気だろう。



貴『いっ、厭！！誰か…っ助けて…』



何で？何で？如何して何時も私なの？

何で、私が何時も苦しい思いをしなきゃいけな

いの？




・



あれから、ひたすら走った。逃げる為に。


それでも、男はまだ追いかけてくる。


もう、肺がはち切れそうだ。


肺が酸素を欲しがり、呼吸が荒くなる。


足が段々上がらなくなる。



それでも走った。

気付くと、木に囲まれ、道が無い処に居た。

行き止まりだ。




もう、いいや。

きっと、死んだ方が楽になれる。

此の儘、生き続けるよりも。




嗚呼、もう一度だけ。

もう一度だけお兄ちゃんに会いたかったな……


私は死を覚悟した。




男「ったく。ちょこちょこ逃げやがって。
餓鬼だから、一撃で楽に殺してやるよ。」


もう抵抗はしない。

早く楽になりたい。

早く…死にたい……




男はナイフを振り上げた。

瞳を閉じ、首を切られるのを待つ。


だが、痛みは少しも感じない。


恐る恐る目を開けてみる。すると……


？「まったく…。女の子をナイフを持って追いかけ回すとは……。男の風上にも置かないね。」


目を疑った。


先刻程まで私を追いかけていた男は…倒れている。

否、死んでいる。



首に医療用と思われるナイフが刺さっていて、

血を流し乍ら。




？「君、大丈夫かい？怪我は？」



貴『え…いや、あの………』





男は顔をずいっと近づけてきた。



正直、少し怖い。


？「あぁ…怖いのかね？大丈夫だ。安心したまえ。君に危害を加える気はないよ。あ、まだ私の名前を言っていなかったね。私は森鴎外だ。宜しくね。」





・







森「君に…一つ提案がある。聞いてくれるかい？」

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