【文スト】敦くんの妹ちゃん

22話 ページ37

敦side


僕には分からなかった。

Aの言っている、人を殺したく無いとい

う事も。

太宰さんの言っているAの覚悟、という

事も。


でも、僕が分からないのもきっと無理はないのだろうか。


小さい頃に離れたから……。



太「敦く…」ドォォォォォォォォォン！！！



太宰さんが僕の名前を呼ぶ声がしたが、

突如した爆発音に掻き消された。


敦「A！！」


急いで音のした方へ走った。

其処には、涼しい顔をしている芥川と血塗れに

成りうつ伏せの状態で倒れているAの姿

が。



敦「…巫山戯るな…芥川ァァ！！」



自分でも分かった。

自分が憎悪に染められている事を。



芥「…人虎か。Aと貴様は何かの関係者か？」




そう言い乍、Aに手を伸ばす芥川。



やめろ、触れるな。その手で…




敦「Aは…僕の大事な妹だ！！！
その汚い手で僕の大切な家族に触れるな！！」




【異能力、月下獣！！】



芥「人虎。貴様らのせいだ。Aに光を
見せなければこうはならなかった筈だ。」



此奴はさっきから何を言っているんだ。

前からずっと思っていた。


【何故、芥川がAの事を知っている？】




芥「その顔では、知らぬ様だな。Aの
過去を。」



敦「Aの…過去？」


訳がわからない。



芥「ふん。兄の癖にそんな事すら知らぬとは。
余程、信用されていないのか。」



芥川は口角を上げ、見下す様な顔で見てきた。


完全に頭に血が上った僕は芥川の方へ襲い掛かった。



敦「芥川ぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！」



芥「笑止。無駄な事を。」



双方は、完全に戦闘態勢に入り、闘いが始まる

…と思っていたが。




太「辞めろ。今はAちゃんの治療の方が
優先だ。事情は後からたっぷり彼女から聞けば
良い。」


僕たちの間に入り、芥川と僕の異能を解除した

太宰さん。

眉間に皺がよっていて、初めて見た顔だった。



芥「太宰さん…。糞ッ 人虎今は引いてやる。
Aは死なれては困るからな。次は無いぞ。 覚悟していろ。」



それだけ言い残し、暗闇へと芥川は消えて行っ
た。



敦「太宰さん… 芥川の言っていた事って如何いう事なのでしょうか。」



太「さぁ、本人に聞く事に限るよ。
兎に角今は、事務所に戻るよ。早く与謝野さんに見せなければ。」


敦「…はい…」



Aを姫抱きにする。


其処ら中傷だらけで、芥川との戦闘の激しさを


物語っていた。

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