ノブレス・オブリージュ【牛島若利】

夏の前に ページ38

…


「はぁ…修学旅行終わっちゃったし次の行事は二学期かぁ…」



「二学期は行事が盛りだくさんだよね〜」



「うーん。行事と言っていいかは分からないけれど期末テストならあるじゃない。」



そう2人に言うと、楽しくないことは行事じゃない！と言い返されてしまう。


何かを学ぶことは本来楽しいことなはずだけれど、なかなかそう思わない人の方が多いのかもしれない。

私は前者の考え方を持つようにしているからそこまで苦では無いのだけれど。




「ね、テストのことはいいからさ、夏の話！しよ！」


皆でお祭りとか行きたい！という凛と夏の練習はキツイから嫌だよーともらす天童くん。



「…夏はインターハイ本番だな。」

と呟くように言う牛島くんの目には静かながらも確固たる勝利への意志を感じる。



「ね、Aは夏休みなにか予定あるの？」


「お盆前に両親の元を訪ねる予定。1週間程度だけどね。」


なるほどなるほど、とにっこりと微笑みながら頷く彼女。


「よし！じゃあ後半には浴衣でお祭り行こう。決定ね！」



と、丁度いい日程のお祭りは〜と検索をし出す。


「部活休みだったら男バレも行くよ！」


と天童くんからのお言葉に勝手に決めちゃって大丈夫？と問うと



「Aちゃんのボディーガードしなきゃネ！結構ここら辺で有名人だし！変な虫が寄ってきたら困っちゃう人がいるから〜」



と笑いながら、というよりかニヤニヤしながら？告げる天童くんは既に男バレのグループLINEにその旨を送る文を打っていた。


楽しいことがあれば、色んなことが乗り越えられるという凛の言葉は間違っていないようで、

私も夏祭りまでに色んなことを頑張ろうという気が湧いてきた。



期末テストや発表会のためのお稽古。そして両親からの頼まれごと。



少しずつ少しずつね。

ちゃんとやんねん。って昔誰かが言ってたっけ。そしたらきっと、誰かが見てくれているって。そうも言っていた気がする。





その言葉が本当だと、いいな。





そして、誰かじゃなくて…

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