ノブレス・オブリージュ【牛島若利】

＊ ページ29

ガチャ




玄関の扉を閉め、これから数日無人となる家に鍵をかける。


キャリーバッグを引きながら何度も頭の中で忘れ物がないか確認した。まぁ最悪現地で調達するという手もあるのだが。


仙台空港に到着すると、辺りは見慣れた制服を着た高校生で溢れかえっている。



「おはよ！いい天気で最高の出発だねぇ」

「ふふ、現地も晴れみたい。良かったね」



いつも遅刻ギリギリのくせにこういう時は早いのね、とからかうように言うと


こういうときだけでも早く来るだけ偉いでしょ？と得意げに返してきた凛。

2人で顔を合わせて笑いあう。。本当に、素敵な出発になりそう。



「朝から仲良いな」


振り向くとそこには男バレの方々。
私たちに声をかけたであろう瀬見くんが、よっと手をあげた。


聞くところによると寮生活の生徒たちは学校からバスを出してもらったらしい。


乗る飛行機がの便が男バレは全員被っていて仲良く全員で来たという。男バレもこちらに負けず仲良しだと思うのは私だけだろうか？



軽い雑談をしていると集合がかかりそれぞれのクラスごとに集合場所に並び飛行機に乗り込んでいく。


窓側がいいという凛の希望に頷き通路側に座る。
空からの景色を目を輝かせながらみる彼女。


「飛行機はじめて？」


「実はね！海外自体初めてだし国内旅行は新幹線だから…酔わないか心配だけど薬飲んできたし大丈夫なはず！」


行くのだけでも相当時間がかかるパリ。

きっと1時間後には彼女は寝ているだろうなと思っていると想像した通り、次第に隣は静かになり今は寝息を立てている。

集合時間は早かったしきっと昨日も楽しみでよく眠れなかったのだろう。


彼女の寝顔を見て癒しを貰った所で、先日買った本を読むことにした。


何度も乗っているはずの飛行機だったけれどこんなにこれからの散策に期待を募らせながら時間を過ごしたのは始めてだ。


さぁ、次に彼女が目を覚ますのは食事の時間かな…？

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