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纏いし黒は梅雨時に ページ23

「…そういう事か。うん、思い出したよ。あの時恵が探していたのは君だったんだね」


『あ、わ、私、先生と恵くんの間でそんなやり取りがあったって知らなくて酷いことを……』


「君の当時の状況を思えば仕方な、」


ドンッッ


『…え』


遠くで、爆発音がした。
この広い高専の敷地の、ちょうど端っこくらい。


「侵入者か!?」


『待ってください!』


立ち上がる真希さんを制す。


(何故だろう、この感じ、誰が来たのか分かってしまった気がする)




現場に駆けつけると、予想通りの人が立っていた。


「はは、翼。俺に傷をつけたのは褒めてやるよ」


『っ、お父様…』


初めて先生にあったあの日、私の呪力の暴走でお父様は瀕死の状態だったはずだ。致命傷ではなかったとはいえ、まさかここまでの回復力とは…。


足がすくんで動けない私を庇うように恵くんが立ってくれる。


「何しに来た」


「何って可愛い娘を連れ戻しに来たんだろ」


「はぁ?こんな顔させといてよく言うよ」


先生に合図され、私達は一斉に駆け出す。


正直に言うと、逃げたくはなかった。


私が逃げることで、先生に迷惑がかかるから。私が行けば、それだけで全て終わるのに。恵くんや真希さん、それに野薔薇ちゃんたち…みんなを巻き込まなくて済むのに。


私は、お父様のことは別に怖くなんてないし。今まで大切に育ててくれたから。今更戻ったって大丈夫。


でも、どうしてだろう。


さっきお父様の顔を見た時、全身が震え上がった。


怖かったんだ。


今、恵くんに手を引かれて安心しているのも、きっとそれが理由。


お父様と過ごした日々はたとえ歪であっても大切な思い出。でもこれからは新しい日々を送りたい。もう飼い殺しは嫌だ。


皆と過ごすうちに優しさに触れて、“大切にされる”ことを知ってしまったから。

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ノンノン(プロフ) - 紅葉さん» 返信遅くなって申し訳ありません。面白いと言って頂けて嬉しいです!更新頑張ります!! (2020年1月26日 14時) (レス) id: 4f5d0a225d (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - とっても面白いです!!これからも頑張ってください (2020年1月8日 13時) (レス) id: a96e485a5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ノンノン | 作成日時:2019年12月16日 17時

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