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「……っ、4年前のDVのこと。」
たっぷり数分間を開けて、やっと決心したらしいAがゆっくり口を開いた。
「彼に与えられた傷は、トラウマとなって今も私の心に残ってます。
Best friend's Girlのレコーディングがあったあの日の朝、私は日本に帰国したばかりで…事務所で初めて2人の履歴書を見せてもらったんです。
今市、さんの方は…ああ、なんか、怖い顔だなって。こう、凄い目つき悪かったから」
広臣「そんなか？笑」
「はい。…でも今思うと登坂、さんの方が目つき悪かったかも」
広臣「はあ？」
「だ、だって…ただでさえ眉毛と目の距離近いのに…凄い皺寄せた写真だったから…っ」
広臣「なんの話してんだお前は。」
「……あ、…ごめんなさい」
シュンと肩を落とす。
落ち込ませすぎてもうこれ以上肩落ちないんではなかろうか。
「登坂、さんの履歴書見たとき、なんか心に引っかかる違和感があったんです。その時はその正体に気付くことはなかったけど…
あなたに直接会った時…その違和感の正体がわかったんです。
あなたには 元彼の面影があった。
それだけじゃない…流し見したから気にしてなかったけど、元彼もね、美容師志望だったんです。
私、彼のハサミで、脇腹刺されたんです。」
広臣「っ、」
「わかってるんです、美容師の男性なんてこの世に沢山いる。言ったら、ヘアメの人たちなんて皆そう…だから普段はそんな事で彼を思い出すことなんてなかった。
でも、その時は いつもと違ったんです。
履歴書を見たときの違和感と、あ、なたを前にした時の衝撃で、…わ、私の中の トラウマが……」
広臣「もう、いいわ…。」
それ以上話を聞くのが、俺自身辛くなってしまった。
でも、確認しておかなきゃいけないことがある。
広臣「今も、か？」
「わかりません…」
広臣「なんで？」
「今のこの感じが、元彼に対する恐怖なのか…あなた自身に対するなにかなのか…」
広臣「俺自身に対するなにか？」
「はい。…初めて会ったときに確かに、“怖い” と思いました。それから暫くはあなたに会うたび元彼の影がチラついて…
でも、今は少し違う、です」
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月22日 22時
