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同じような気持ちだったのなら、Aも覚えててくれてるのかもって期待が膨らんで。
そしてそれは期待通りだった。
「……、
“初めまして、登坂広臣です。
…本当に女の子だ。
ははっ、やべえ 緊張してます。
綺麗な声ですね、” 」
揺さぶられる、
思い出してくる、あの瞬間の、沸き立つ高揚感。
広臣「 “私も、緊張してますよ。
トサカさんも、素敵な声だと思います。
早く歌声が聞いてみたいです…” 」
お世辞だったとしても、そんなこと言われたら嬉しくないわけがなかった。
あの時から、俺の心はずっとお前に向いてたんだよ。
だからこそずっと知りたかった、
あの時のAは。
広臣「あの時、A、受話器の向こうでどんな顔してた？」
お互い顔も知らぬ相手にどんな想像をしてた？
「わからない…でも、ワクワクして、…もしかしたら、笑っていたのかもしれないです」
不確かなAの言葉。
だけどそれを聞いた瞬間、言いようのない安心感と喜びが溢れてきて。
どんどん俯(うつむ)いてくる自分の口角が自然と上がるのがわかる。
弾かれるようにパッと顔をあげ、同じように軽く視線を下げていたAを見て、
広臣「っ、俺はあの時から、ずっと。
お前の声が 大好きだった。」
気付いたらそう 伝えてた。
ーー俺は、笑っていたなんてもんじゃなかったよ。
あの時、あまりの衝撃に、隆二に呼ばれるまで現実に戻れなくなるほど呆然と突っ立ってるだけだったんだ。
A、ずっと大好きだったんだよ。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月22日 22時
