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「……」
広臣「(反応なし、か…)
…あのさA、
って、おい、大丈夫か？」
顔を上げた俺の目に飛び込んできたのは、物凄い勢いで瞬きを繰り返すA。
「は、話って、それですか？」
広臣「そうだけど…」
「……ほっ、」
口に出してあからさまに胸を撫で下ろすA。
広臣「え、なに？」
「いや…」
広臣「…なに？」
「っ、今日のステージの事で 怒られるのかと、思って ました…」
は？何言ってんのこいつ。
広臣「え。なんで笑」
「花火のサビ入るワンカウント前の振り…間違えて左足から出ちゃって…」
広臣「いや…」
気付くわけないじゃん。
俺とお前のポジション、どんだけ距離あったと思ってんだよ。
広臣「ふ、振り間違えるなんて珍しいな」
「初めてです……」
シュン…と肩を落とすA。
これから割と重い話しようとしてるのに初っ端から落ち込ませてしまった。
でも、そうか、A振り付け間違えちまったんだな。
この前の歌練の時もミスってたし…なんでもないように振舞ってたって、週刊誌のことがどれだけAに影響を及ぼしてるかは それだけで分かった。
「週刊誌に書かれてた過去のことは…事実です。」
広臣「ああ、隆二から聞いたよ」
「そうですか。…うん、だから、いつかどっかのタイミングで、バレてしまう事だったんだと思います。」
広臣「……」
「過去を…あんな風に悪意を持って書かれたのは少しショックだったけど、でも…、それでも応援してくれるファンの皆や 支えてくれる仲間を信じることができたから。大丈夫でした」
広臣「…、」
「だから、……。」
そこでAの言葉が途切れた。
謝らないでくださいとでも言われるのかと思っていた俺は ん？と顔を上げる。そんな俺の目を見て、Aは思い直したような顔をして。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月22日 22時
