君をさがしてた。episode3 …2 (ページ25)

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(キツい…)

もういっそのこと、メンバー全員に俺の気持ちをブチまけてしまいたかった。

初めて声を聞いた時Aに心を奪われたこと。
わけもわからず避けられてショックを受けたこと。

理由はわからないけど俺に怯えるAを傷付けないように彼女を避けてたこと。

そうしているうちにいつの間にか他のメンバーをも巻き込んで Aに対して分厚い壁を作っていたこと。
でもその壁を今になってメンバーが壊し始めて、凄く焦ったこと。

イライラしてたのはAに対してじゃなかった。
嫌い嫌いと言い続けながら、今もなお残るAへの想いに素直になれない自分に対してだったこと。

全部言ってしまえば、もうこれ以上Aとすれ違わなくて済むだろうか。
Aを傷付けた俺をメンバーは許してくれるだろうか。

そんな考えが苦しくて、涙が溢れた。

pipipiーー…

再び鳴るコール音。
そのディスプレーに映る名前を確認したとき、俺は今度こそ通話ボタンを押した。

『もしもし臣？わりぃ今忙しい？』

広臣「っ、隆二…っ、」

『…？どうした、何かあったか？』

電話越しにも嗚咽が伝わったんだろう、心配そうな隆二の声が聞こえてくる。

広臣「助けてくれ…」

相方の声を聞いた瞬間、もう一人でいるのは限界だと思った。

隆二「臣！」

電話を切ったその場でタクシーを降りて待つこと30分。
息を切らした隆二が走ってきた。

隆二「大丈夫か？」

公園のコンコースの隅、影になってるところにしゃがみ込んでうな垂れていた俺の肩に手を置いて優しく問うてきた。

広臣「……」

隆二「とりあえずベンチ座ろうぜ」

2人してベンチに座り、隆二から渡された缶コーヒーを飲む。

広臣「ごめん…」

隆二「気にすんなって。で、どうした？何があった？」

俺を安心させるように笑う隆二に心から感謝した。
そしてこの相方に、先ほどあった百合根とのやり取りを全て話す決意をした。

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