君をさがしてた。episode2 …2 (ページ16)

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閑話-2 ページ16

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隆二(やっぱ直人さん達となんかあったのかな)

ここ最近で急激に距離を縮めているELLY達に加え、ついには直人と直己の2人もAに対する態度を変え始めているのは隆二にもわかっていた。

パフォーマー陣とAを取り巻く空気が変わり始め、そして今日ついにA自身もレコーディングに顔を出した。隆二が戸惑うのも無理はない、ボーカルの2人とAが一緒にレコーディングするのは二枚目のシングルのOn Your Mark以来実に2年ぶりのことである。

隆二(お前どうしちゃったの…)

隆二の視線に気付きもしないAを見て心の中で問いかける。
今まで俺らがどんなに言ってもひたすら頑固に一緒のレコーディングを拒み続けていたというのに、ここ短期間の変化でひょっこり顔を出しやがって。
素直なの？なんなの？

声に出して聞いてみたかった。

「あの…」

Aが突然小さく言葉を漏らした。
どうやらプロデューサーに聞きたいことがあるらしいが、彼は今臣の歌に夢中でAの言葉など聞いちゃいない。

「ーー…」

隆二「…どうした」

口をパクパクして心細そうな顔をしているAに堪らず声をかける隆二。
今までずっと一人でレコーディングしていたから、プロデューサーに反応されないことなど始めての体験なのだろう。実はこのプロデューサーが、集中すると周りの声が聞こえなくなるタイプだとAは知らないに違いない。

まさか隆二に反応されると思っていなかったらしいAは、一瞬瞬きをせずに固まったが、ハッとして彼に歌詞カードを見せてきた。

「……ここの、私が入るとこ、highBで入っていいのか、さっき確認するの忘れちゃったから…登坂、さんに合わせるならもう1個キー落としたほうがいいのですか、ね…」

隆二「そんなの後で自分の時に確認しなよ」

間違ったことは言ってないはずなのに、それを聞いてどこか哀愁漂う微妙な表情をしたAに罪悪感が生まれる。

隆二(こいつ、こんな感情現すやつだったか…？)

なんだかずーんと沈み、完全に落ち込んでいるAを見て少しだけ心を痛めた隆二であった。

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