��-5 ページ23
5
「……」
俊介「俺がEXILE脱退した理由は聞いた？」
「ATSUSHIさんから少しだけ、音楽性の違いだって」
俊介「そう、世間じゃ色んな憶測が流れたけどな。俺にとっちゃ理由なんて、それぐらいしかない。」
「EXILEにいたら、自分のやりたい事が出来ないから、抜けたんですか？」
ずばりそう聞けば、俊介さんはゆっくりと頷いて。
俊介「HIROさんはすげえカリスマ性がある人だから…あの人が右を向いたら 皆右を向く。当時のEXILEはそんな感じだったんだよな。
でも、俺のやりたい事は左にあった。
だから俺は彼らと違う道を選んだんだよ。
もちろん、音楽性は違っても当時のメンバーは 今でも俺の大事な仲間だ。
かけがえのない、俺を支える力だよ。
なー、Aちゃんはどうなんだよ、今やりたい事はないのか？」
そう聞かれて、一番に頭に思い浮かんだことはやっぱり。
「…HIROさんの力になること。」
俊介「もしそのHIROさんが居なかったら？」
「え？」
俊介「もしAちゃんが、三代目にも入っていない普通の女の子だったら、どんな事がしたい？どんな夢を持っていたと思う？」
「……。」
俊介「…ふっ、だめだなぁ、それじゃあ ダメだ。」
「何が、だめ？」
俊介「男1人いないだけで、夢も何もなくなるような女はモテない。」
「は。」
ドヤ顔で何言ってんだこの人は。
そう思ったけど よく見たら俊介さんは意外にも真剣な顔をしている。
俊介「俺もさ、音楽業界に引っ張り上げてくれたHIROさんには多大な恩を感じてるよ。
それでもやりたい事があったから、俺は彼の元から巣立った。…あ、言っとくけどAちゃんにHIROさんの元から去れって言ってるわけじゃないからね。
でも、いつまでもHIROさんから夢を与えられる立場に甘えちゃだめだぞ。キミはアーティストだからな、人に夢を与える立場になれ。その為には自分の夢を、やりたい事を、しっかりと持ちな。」
「……やりたい事、か。」
俊介「そう。今すぐにはなくても、いつもちゃんと、その意識をここに持っとけ。」
そう言って胸に拳を当てる俊介さんは、
やっぱり私が憧れてたままの格好いい人で。
私は小さな頃から、この人とATSUSHIさんにずっと憧れてたんだなあ。
それがなんだか嬉しくなるような、そんな出来事だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1568人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月16日 0時
