閑話 ページ29
，
亜「A。」
「わあ、おはよう亜嵐」
亜「HIROさんから聞いた？」
「…？何を？」
亜「映画のキャスティング」
「聞いてないけど、なに？」
亜「主演、俺だから。」
「…はい？」
亜「NEVER ENDの主演俺だからね」
「やだ。」
今日は三代目とGENERATIONSが出演する歌番組の収録日。
演者の入り時間が重なり混雑する楽屋前の廊下で、亜嵐とAがなにやら険悪なムードで会話をしている。
嵐「もう決まったから」
「い、や、だ。」
亜「なにが。何で。」
「亜嵐が相手役なんてやりずらい」
亜「Aの場合誰が相手でもやりずらいでしょ。逆に俺で良かったと思うよ」
「だって！亜嵐とキ、キ、…」
亜「キス？」
「それ！それするなんて絶対ムリ！」
亜「でも数いる候補の中から監督と“HIROさん”が俺を選んだらしいよ」
「……ずるい」
亜「ははっほんとAってHIROさんってワードに弱いよね。面白い」
「バカにしてんの？」
亜「バカにしてないよ。言っとくけど俺だって緊張してるんだからね」
「なにがよ」
亜「映画の主演なんて初めてだしそれに、…Aとのキスもあるしね？」
「……ッ」
亜「あれ、もしかして照れた？こうゆうのにも弱いよね、可愛い」
「だまれ！」
亜「はいはい。じゃあ俺リハあるから行くね」
「帰ってくんなよ！」
珍しく声を張り上げたAは亜嵐の姿が見えなくなると、はあ…とため息をついてくるりと体を楽屋の方へと向けた。
「……。」
「…あ、いやこれはその、」
目があったのは、楽屋からこっそり顔を覗かせ会話を聞いていた健二郎。
Aに盗み聞きがバレて慌てた様子の健二郎だったが、盗み聞きされた方であるAは一切の動揺を見せずに彼を一瞥すると、そのまま何も言わずに彼の脇を通って楽屋の中へと入っていった。
健二郎(ここまで来たらなんか言ってくれや…！)
不自然な格好で置いてけぼりにされた健二郎は心の中で涙を流した。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月5日 19時
