君をさがしてた。episode1 (ページ35)

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ガンっと立ち上がりAの胸ぐらを掴む。長身の臣に掴まれ、Aの身体はつま先が床につくスレスレまでいとも簡単に持ち上がった。

健二郎「臣やめろ、やり過ぎや！」

剛典「臣さん！」

臣「お前ら甘ぇンだよ、本当はもっと早くこうするべきだっただろ、…調子に乗りやがって…舐めんじゃねえぞ糞ガキィ！」

睨みを効かせ、殴るかの勢いでAに迫る。
冷静さを失っていた臣だが、そこである違和感に気づいた。

臣(あれ…？)

しかしその違和感を確信する前に、Aの様子があからさまにおかしくなる。

「ぃや…、いやぁぁあぁ！」

臣「っっ！」

臣の顔を見て目を見開き、悲痛な叫び声を上げるA。突然の事に臣は思わず胸ぐらを掴んでいた手をパッと放し、床に崩れ落ちたAの体は震え呼吸は荒く、明らかに普通じゃない。

ELLY「A…？！」

「ぃゃ、来ないでぇ…やめて、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃッ！」

真っ先に駆け寄ったのはELLY。その後に続くように健二郎も立ち上がった。

しかし、ELLYがAに触れようとすると、拒絶するように体をめいいっぱい縮こませた。

ELLY「A、俺だよ？触るよ？」

「ハァッ、ハッ…やっ、いやっ、ッ！ハッ」

ELLY「過呼吸…？健二郎君袋とって！」

健二郎「お、おう！」

健二郎から袋を受け取りAの口に当てゆっくりと息をするように促す。
徐々に呼吸は落ち着いていき、Aの目がトロンとしてきて。

ELLY「A？…わかる？」

「ELLY、くん？」

ELLY「そうだよ、よかった」

「…ごめんなさい私ーー…」

Aは小さくそこまで言うと、フッと意識を手放した。
そんな彼女にELLYは一瞬動揺したが、力の抜けた体を横抱きに持ち上げると、臣の方を振り返ることはせず

ELLY「どんな理由があろうとも…

女の子に手を上げるのは最低だと思うよ。」

それだけ言って眠るAと共に会議室を後にした。

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