74 / 藤井さん ページ24
あれから、優に30分以上経過してしまっている。
…もう扉を叩くのも声を出すのも疲れてしまった時、
外から微かな足音が聞こえた。
もしかしたらあのスタッフさんか戻って来たのかも、
と思い身体を強張らせるが、そうではないらしい。
「 海葉さ〜ん…、、海葉さ〜ん、どこー？」
私を探してくれている声。
聞いたことのある、低くて優しい声。
そして私の事を "海葉さん" と呼び、
水色の金平糖をくれた人。
『 ふじい、さ…っ 』
青「 海葉さーん…！
居ったら返事してや〜 」
『 ふ、藤井さ…！助けて下さい…！』
もう無いに等しい力を振り絞ってドアを叩くと、
優しい彼はちゃんと気付いてくれた。
青「 海葉さん？！
ここ！？この部屋！？」
『 はい、ここです…！
開けて下さい…！』
青「 ちょ、待っとってな！！
すぐ鍵貰ってくるから…！」
そう言って走って行った藤井さん。
安心してしまったのか肩の力が抜けてしまい、
息を吐きながら壁にもたれかかる。
それからすぐ藤井さんは戻って来てくれて。
青「 海葉さん…！！
もう大丈夫やで、怖い思いさせてごめんな 」
そう言って、優しく抱き締めてくれた。
『 藤井さ…、ありがと、ございます… 』
青「 は〜良かった、何もされてなくて… 」
『 …私は、でも、衣装が 』
青「 衣装…、あ 」
床に散らばる衣装を見て目を丸くする藤井さん。
青「 これも、あいつらがやったん？」
『 …はい 』
青「 …ホンマ、最低やな、
ちょ、早よ楽屋戻ろ、ここじゃ寒いし 」
さり気なく自分の来ていたジャケットを掛けてくれて
肩を抱かれながら楽屋へと戻る。
藤井さんが連絡してくれていたのかもう皆揃っていて のんちゃんは私を見るなり「良かった」と飛び付いて来た。
緑「 ホンマ心配したんやからな…！」
『 ごめんなさい… 』
黄「 まあまあ神ちゃん、
Aが悪い訳や無いんやし、ええんちゃう？」
緑「 …分かっとるよ、でも心配やってん…っ、
ごめんな、一人にして、怖い思いさせて 」
泣きそうな顔をしながらそう言う智ちゃん。
本当に心配してくれていたんだ、と
嬉しさと申し訳なさが混ざる。
…皆そう言ってくれるんだ。
「怖い思いをさせてごめん」 と。
私が着いていったのが悪いのに、
まるで自分のせいみたいに、そう、言ってくれる。
『 皆、ありがとう…っ 』
そう言うと、皆はわあわあまた騒ぎ出して、
少し前の賑やかさが戻って来た様な気がした。
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ｲﾛﾊ(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます …！そう言って頂けて嬉しいです ◎ ゆっくりですが加筆して参りますので、お読み頂けたら幸いです。これからもよろしくお願い致します ◎ (2021年3月25日 0時) (
レス) id: c6ea372a6e (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらっています！更新楽しみにしていますので、無理をしない程度に頑張ってください！ (2021年3月24日 23時) (レス) id: d72ab54115 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ｲﾛﾊ | 作成日時：2021年2月20日 18時
