44 / 怒鳴り声 ページ44
遠くに聞こえる音が段々近くなって来て、
ハッ、と目が覚めた。
飛び起きると、臨時のお医者さんらしき人が
「起きましたか」とこちらを見ていた。
『 あの…、私… 』
「 海葉さん、倒れてしまったんですよ。
恐らく、ストレスと疲労です。
ここ短期間で頑張っちゃったかな？」
確かにストレスは感じていたし、疲労感もあった。
でも、こんなに早く症状が出てしまうなんて。
やっぱり芸能界って厳しいんだ、と改めて思った。
少し安静にしてて下さい、頑張り過ぎは厳禁です、
と言われ、「はい」と返事をする事しか出来なかった。
そしてまた室内が静かになった頃、
今度は外が騒がしくなり始めた。
「 …ざけんな！」
聞こえたのはのんちゃんの声。
余りに大きな声だったから、思わず肩を揺らす。
一体 誰に、何に対して怒っているのか、
そんなに彼を怒らせる事があったのか、
気になって聞き耳を立ててしまう。
良く聞くと、私の話らしい。
智ちゃんが私に言った話の内容を、
のんちゃんは知っている。
それがのんちゃんの逆鱗に触れて、
智ちゃんを怒鳴り散らしているらしかった。
嬉しいのか何なのか分からないが、涙が出そうになった。
でも今は泣いていい時じゃない、と思い
涙を拭って立ち上がった。
優しい優しい、彼を止めに行かなくては。
ガラリ、扉を開けて彼の方を見る。
『 のんちゃん 』
名前を呼ぶと、俯いていた顔を上げてくれた。
涙で潤んだ、零れ落ちそうなくらいに大きな瞳。
赤くなった鼻と下がった眉。
うん、やっぱり彼は優しい人だ。
桃「 A…っ 」
『 ありがとうね、のんちゃん 』
桃「 よかったっ 」
そう言いながら、ぎゅっと私を抱き締めてくる。
背中に手を回し、一度力を込めてから
すぐに彼の胸板を押して離れた。
そしてもう一人。
共に頑張ってきた仲間の方を向く。
一度は気まずそうに目を逸らしたけれど、
ハッとしたようにまたこちらを向いてくれた。
緑「 A、ホンマにごめんなさい、
俺…何も知らんと酷い事ばっかり言うて…
のんちゃんに言われて気が付くなんて、
俺、最低すぎるやんな 」
『 ふふ、いいよ、智ちゃん 』
目を丸くして顔を上げた、
良く見れば昔と変わらない彼を、
もう一度、受け入れて信じてみよう、と思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 300人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ｲﾛﾊ(プロフ) - シオンさん» コメントありがとうございます。1番なんて恐れ多いですが、本当に嬉しいです！ありがとうございます…！亀さん更新ではありますが、お付き合い頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。 (2021年2月20日 18時) (
レス) id: c6ea372a6e (このIDを非表示/違反報告)
ｲﾛﾊ(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです …！亀さん更新ですが、お付き合い頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。 (2021年2月20日 18時) (レス) id: c6ea372a6e (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 以前より読ませていただいています。1番大好きな紅一点小説なので更新されるたびにドキドキとワクワク、またどのような部分に新たな言葉が加わっているのだろうと楽しみで仕方がありません。これからも応援しています！ (2021年2月12日 1時) (レス) id: c0d520ec71 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - この作品前に連載していた時から読ませていただいています！めちゃくちゃ大好きな作品で更新されるのがとても嬉しいです！頑張ってください！ (2021年2月12日 0時) (レス) id: 971f641812 (このIDを非表示/違反報告)
ｲﾛﾊ(プロフ) - 亜由美さん» コメントありがとうございます。亀さん更新ではありますが、お付き合い頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。 (2021年1月25日 17時) (レス) id: c6ea372a6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ｲﾛﾊ | 作成日時：2021年1月8日 0時
