12.一言のその奥に ページ13
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『兄が両親に殺された』
Aは振り返らずに、淡々とそう言った。
酷く、痛々しい程に冷たい空気が流れた。それが冬のせいなのか、そうではないのかは、分からない。
「………え」
息がこぼれる。誰も何も発さなかった。否、発せなかったのだ。彼女の表情は見えないけれど、今の彼女は違う。いつもの、少しズレた、皆に一目置かれる、優しい、普通の女の子ではない。
何もはないはずの彼女の肩に、きっと自分達では想定も、想像もできない何かが乗っているのは確かだった。
『……また明日』
「あ、！……」
「…A」
Aは去っていった。いつものように、また明日と言って。晴天の冬空が照らす光だけが、場違いに輝いている。
「…今のって」
「…いや、嘘じゃないねぇだろ」
「でも！……」
「……」
歯切れが悪い。そのはずだ。当たり前なのだ。ここはヒーローを目指すための学校。彼女の言葉は本来なら、ここで聞こえるはずのないものだから。
兄が両親に殺された。それは、彼女の兄がもう二度とこの世界で息を吸わない事を意味する。彼女の両親が人を殺した事を意味する。彼女の両親が敵になった事を意味する。彼女がその全てから逃げられない事を意味する。彼女が、
この世界にたったの一人になった事を意味する。
その全てを、きっと全ては理解しきれないだろうが、理解した時に、彼女の友は彼女に何を与え伝えるべきなのだろうか。それはここにいる誰にも知り得ない事だ。
聞くべきではなかったのだ。聞いたその瞬間から、彼女達は友とは言えなくなってしまう。敵の娘と、ヒーローを志す子。彼女達の世界に確かな線が引かれてしまう。だから彼女は躊躇ったのだ。言えばきっと、隔絶されてしまうと分かっていたから。もう元には戻らない事が分かっていたから。
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幸福ペペロンチーノ(プロフ) - 橙咲智歌さん» ありがとうございます！！ストーリー構成が難しかったんですけど、楽しんで頂けたようで良かったです！！ (2020年12月4日 0時) (
レス) id: 811b2e84f5 (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - とっっっっても素敵でした！！！もう語彙力が消し飛びました！！相澤先生近くにいます！？星座の星言葉や主人公のオリジン、女の子でも色んなことを乗り越えていくストーリー、全部ぜんぶ素敵でした！！！完結おめでとうございます！！ (2020年12月3日 23時) (レス) id: 022d5d2c0c (このIDを非表示/違反報告)
幸福ペペロンチーノ(プロフ) - 過眠さん» あああ、ありがとうございます！！兄妹愛尊いですよね！！更新頑張ります！！ (2020年11月16日 7時) (レス) id: 811b2e84f5 (このIDを非表示/違反報告)
過眠(プロフ) - めちゃくちゃ好きです！！！！！私自身星とか大好きですし、オリ兄がいるのとかも大好物でして…ホントに設定含め全て好きです。ヒロアカの夢小説でこんなにウルウルきたの初めてな気がします(TT)更新楽しみにしてます！ (2020年11月16日 0時) (レス) id: 0e313d130c (このIDを非表示/違反報告)
幸福ペペロンチーノ(プロフ) - 橙咲智歌さん» ありがとうございます！！！星宮ちゃん素敵な子ですよね！嬉しいです、出来る範囲で更新頑張ろうと思ってます！ (2020年11月9日 18時) (レス) id: 811b2e84f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幸福ペペロンチーノ | 作成日時：2020年11月7日 17時
