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「引き継ぎを終えたら帰ってよし。三日月、残って」
桔梗の言葉に、三日月が頷く。
三日月以外の機捜隊員が部屋から出たのを確認すると、桔梗は優しい顔つきになった。
「A、初日を終えて機捜はどう?」
「捜査一課より断然居心地が良いです。家族みたいで」
志摩にじゃれついて頭を叩かれる伊吹や、九重を呑みに誘って断られる陣馬をブラインドの隙間越しに見て目を細める。
「温かくていいなぁって、思いますよ」
耳触りのよい低めの声が、優しく響く。
「ゆたかくん、元気にしてますか」
「あ、すごく会いたがってた、ハムちゃんも。Aに会いたいって。今日来る?」
「桔梗さんが良いなら」
じゃあ決まりね、と楽しそうに言う桔梗に、三日月は口元を隠して笑った。
三日月が部屋を出ると、伊吹がにこにこしながら待っていた。
「ねぇ、これからみんなで歓迎会しよ。今日は珍しく九ちゃんも来るって」
「伊吹さん? 九ちゃん…あぁ、九重ですか」
「も〜! だから、敬語ダメね。同じ階級同士気楽にいこ」
三日月はキョトンとした顔をして、仮眠時の一連のやり取りを思い出した。
「…あ、結局布団全部取ってしまって」
「はーい気にしなーい、俺が勝手にやったことだからAちゃんは気にしなーい。で、来る?」
三日月が答えを言い澱んでいると、部屋から出てきた桔梗が「行ってきなさいよ、Aの歓迎会でしょ」と言った。その口調は決して命令ではなく、促すようなもの。
子供であるゆたかがいる桔梗の家にいくなら酒の場は控えるべきだろうかと考えているのが、桔梗は直ぐに分かったからだ。
「伊吹、しないと思うけど、無理に飲ませたら…分かるよね?」
「そんなことしませんよ」
それを聞くと、三日月は桔梗に頭を下げる。
「では、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
九重と陣馬、志摩が三日月と伊吹を待っている。
新しい仲間に囲まれた三日月を、桔梗は満足げに見つめていた。
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ルーツ(プロフ) - イマツギさん» コメントありがとうございます! 書き留めていたものをちょくちょく投稿していこうと思っています! 一挙放送楽しみですねぇ(*^-^) (2020年12月28日 17時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね!更新頑張ってください! (2020年12月28日 3時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
ルーツ(プロフ) - みかさん» ご愛読していただいてありがとうございます…! 遂に三日月が自分でひいていた境界線を打ち消して一歩前進しました。この話、終わるまで長くなっちゃいそうです(笑)。気長にいきますね! (2020年9月12日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - ルーツさん» 凄い、好き、好きです…!!(語彙力)ドラマは終わっちゃったけど、ほんと、、この小説好きで、ずっと続いて欲しい((。良かった、境界線は、ただの線だもんね…乗り越えられて良かった… (2020年9月6日 21時) (レス) id: 72afcfd334 (このIDを非表示/違反報告)
ルーツ(プロフ) - みかさん» そう言っていただけると嬉しいです…!! 遅いながらも暇を見つけてちまちま更新していくつもりです! まだしばらく暑いみたいなので気を付けないといけませんね…(苦笑) (2020年8月25日 20時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルーツ | 作成日時:2020年3月9日 19時