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「4機捜に新しい人員を入れることになりました」
4機捜隊長、桔梗ゆづるの声に、伊吹は転校生を楽しみにする学生のようにそわそわと動き出す。それを見かねた志摩が「大人しくしとけ」というが、やがて伊吹の顔を見て諦めた。
「新しい子って男? 女?」
「男子中学生か!」
「だぁって気になるだろ志摩ちゃん」
「静かに」
桔梗の鶴の一声で辺りは静まり返る。
九重は扉がノックされた音に視線を後ろにやった。
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのは黒のハイネックにパンツスーツ、黒のパンプスと、全身黒に包まれた人物。
髪は濡羽色で肌は陶器のように白く、唇だけが日本人形のように赤い。聞こえてきた声は女性にしては低いが、男性にしては柔らかい声だ。
その人物が桔梗の隣に立つと、身長差がよくわかる。志摩と陣馬よりも背が高い。
「本日付で4機捜に配属になりました。
笑うその顔はとても優しいもの。
穏やかな三日月の空気に、九重は胸を撫で下ろした。伊吹のような人物が来てはたまったものではない。
「三日月には兼任で、今までスパイダーに頼ってた4機捜の仕事を行ってもらう。糸巻と組んで初動捜査をより迅速に、正確にするために来てもらったの」
「兼任?」
「現場にも出てもらう。401と404、どちらも臨機応変に三日月と初動捜査にあたるようになる。何か質問は?」
九重と志摩が同時に手をあげた。
どうやら思っていることは同じだったようで、九重はゆっくりと挙げた手を下ろす。
「三日月さんが現場に出る必要はありますか?」
「必要性は追々分かる。それ以外にないなら、今日から三日月を含め任務に当たって下さい。三日月、今日は401と組んで」
そう言って部屋をあとにした隊長の後ろ姿を見ていると、陣馬が肩を叩いた。
「伊吹のやつ、妙に静かじゃねぇか」
そういえば、そうだ。
あれだけ男子中学生のようにそわそわとしていた伊吹が静かなのは、なんだかおかしい。じっと三日月を観察する伊吹の目に、何かあったのだろうかと陣馬は気にしていた。
「そう…ですね。…伊吹、行くぞ」
「あ、待て志摩ちゃん!」
「先に行きます」
志摩と伊吹はメロンパン号の鍵を持って車へと向かった。
「三日月さん、401も9時から重点密行です。現場出るんですよね? 行きますよ」
「分かった、ありがとう」
陣馬は三日月の存在に何かざわつくものを感じ取りながら、九重と三日月を追った。
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ルーツ(プロフ) - イマツギさん» コメントありがとうございます! 書き留めていたものをちょくちょく投稿していこうと思っています! 一挙放送楽しみですねぇ(*^-^) (2020年12月28日 17時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね!更新頑張ってください! (2020年12月28日 3時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
ルーツ(プロフ) - みかさん» ご愛読していただいてありがとうございます…! 遂に三日月が自分でひいていた境界線を打ち消して一歩前進しました。この話、終わるまで長くなっちゃいそうです(笑)。気長にいきますね! (2020年9月12日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - ルーツさん» 凄い、好き、好きです…!!(語彙力)ドラマは終わっちゃったけど、ほんと、、この小説好きで、ずっと続いて欲しい((。良かった、境界線は、ただの線だもんね…乗り越えられて良かった… (2020年9月6日 21時) (レス) id: 72afcfd334 (このIDを非表示/違反報告)
ルーツ(プロフ) - みかさん» そう言っていただけると嬉しいです…!! 遅いながらも暇を見つけてちまちま更新していくつもりです! まだしばらく暑いみたいなので気を付けないといけませんね…(苦笑) (2020年8月25日 20時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルーツ | 作成日時:2020年3月9日 19時