たぶん、夢。 (ページ36)

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大谷Side

自分がプロ野球選手だ、と
Aさんに明かしてから
初めてのご飯。

会って、サイン書いて！とか言われるのかなぁ、と
思ったら全然そんなことはなく。
普段通りだった。

……まぁ、店に入ってからガチガチに緊張してたけど。

今までと同じように話せるのが嬉しかった。
イジったら、面白い反応も相変わらず。

焼肉屋さんを出た後に向かったのは
Aさんオススメのケーキ屋さん。
人通りの少ないところだった。

さりげなく
人目につかないようにしてくれてるのかもしれない、
と良いように考えた。

自分がプロ野球選手だと知って
普通の一般人として、変わらず接してくれた人は初めてかもしれない。
好機の目で見てくる人が圧倒的だった。

「ここ！ここが私のオススメ、
苺のミルフィーユがあるケーキ屋さんです！」

振り返ってじゃーん！とドヤ顔してるAさん

(なんかはしゃいでて可愛いな)

背中を押されて、店に入っていった。

ケーキセットを注文して、待っていると

「私ね、ミルフィーユ食べるのすっごい下手なの。」

「あ～そんな感じします。ボロボロこぼしてそう」

「言い返せないのが悔しい…！」

「まぁ、デートで頼むのAさんくらいじゃないですか？」

「えっ！？！？デート！？！？」

「デートじゃないんですか？これ」

「え！違うよ！友達同士で遊ぶのはデートって言わないよ！」

明らかに動揺するAさん
じわじわと顔が赤くなってきてて面白い。

「そうなんですか？
遥輝さん、女の子の友達とデート♪って言ってたけどなぁ」

「あ～、それは…なんか私たちの関係とは違うような…。……、これがデートだったら
たぶんミルフィーユじゃなくて、
ショートケーキとかにすると思う。」

「どうして？」

「いや…恥ずかしいじゃん、綺麗に食べれないし。

好きな人には可愛いと思ってもらいたいから、
きっとお淑やかにショートケーキを食べてると思います。」

「なるほど」

…僕の前では、
こぼして食べても良いって思えるくらい
気を許してくれてるのかも、と思うと悪い気分はしなかった。

猫かぶってるよりも、いつも通りにしててほしいから。