たぶん、夢。 (ページ19)

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▽

大谷Side

「翔平、もう練習終わり〜？」

「いや、スーパーピッチャーの上沢さんが
練習終わってないのに終われないですよ。」

「ほんとお前かわいくないな！」

「上沢さんの可愛いって言われても嬉しくないです。」

「へーへーそうですか。

今から河川敷の方にランニング行って
今日は終わる予定だけど一緒に走るか？」

「はい。」

。

寮から、少し南の方にある河川敷
先輩と二人でランニングしていると

向こう側から
一人で走っている人がいた。

「こんばんは～大谷くん、お久しぶりです！」

すれ違う時に、僕の名前を呼ばれた。

(なんか聞き覚えのある声だな…)

と足を止めて振り返ると

「えっ！？Aさん？」

突然現れた知り合いに驚きを隠せない。

「えっAさんて誰？ファンの人？」

上沢さんが声を掛けてくるが、思考がうまく働かない。

「こんばんは～」

「お久しぶりです、走ってたんですか？」

フリーズしかけた頭で、なんとか返事をする。

「うん、体力落ちてきたな～と思ったから
健康の為に走ってました！」

「え？どちら様？？」

「あ、はじめまして。大谷くんのお友達のAと言います。」

ちょっと、なに勝手に自己紹介してんの。

「初めて～上沢です！
…てか友達！？翔平、お前、異性の友達いたの！？」

ほらきた、絶対言われると思った。

「ちょ、上沢さん声でっかいです。うるさい。」

「なんだよ〜なんで何も教えてくれないんだよ！」

「いや、別に聞かれてないんで。」

先輩だったら、察してくれないかな…

「なんでそんな翔平イライラしてんの？」

「上沢さんには怒ってません。」

「…え？私に怒ってるの？」

そう、先輩に怒っているわけじゃない。

Aさんにちょっと怒っている。