たぶん、夢。 (ページ6)

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スイーツビュッフェページ6

▽

「A〜」

「はい、何ですか？」

「はいコレ、
得意先のホテルのスイーツビュッフェチケット。
2枚余ってるから誰かと行ってきな。」

「先輩！いいんですか？」

「うん、Aスイーツ好きでしょ？
いつも仕事頑張ってくれてるし、ご褒美に。」

「めっちゃ嬉しいです！
今やってる期間限定のやつ行きたかったんです。
ありがとうございます〜！」

って、チケットもらったものの…

「私、北海道に友達いないじゃん…。」

大阪から転勤してきて
結構経つけど、仕事仕事仕事。

休みの日もゲームか漫画かアニメで、ずっと引きこもっていた。

最初の頃は観光とかしたいなぁ、とか考えてたけれど
一人はちょっとな…と躊躇っていた。

(ライブとかなら、一人で全然行けるのになぁ。)

(一人でスイーツビュッフェとか痛くないか？痛いよなぁ、)

色々考えながら、思い浮かんだのは一人の顔。

(いやいや、ないでしょ。)

(だって、顔見知りってだけだよ？
むこうはクーポン押し付けてきたお節介おばさんくらいの認識だよ。)

(てか私も、顔見知りってだけで食事に誘うようなパリピじゃないんで…)

せっかくもらったけど、どうしようかなぁ…

イチゴ食べたかったけどなぁ…

(仕方がないか、友達がいないのが悪い。誰かにあげよう…。)

。

仕事終わりにいつものコンビニに寄っていく。
今日から新商品の発売日、新商品にはやっぱり弱い。

(自炊するようになって、体重も落ちてきたしご褒美ってことで！)

(あっ、あった！ラスイチ！ぎりぎりセーフ。)

新商品の苺タルトを取ろうとすると
右からスッと伸びてきた手に取られてしまった。

「あっ！」

嘘でしょ！？と横を見るとあの人だった。

「コレ狙ってました？すいません。あ、良ければどうぞ。」

「えっ、いいんですか？」

「ふふっ、いいですよ。
前にクーポン券くれたので今回はどうぞ。
僕違うやつにするので。」

「新商品めちゃくちゃ楽しみにしてたんです、
ありがとうございます。」

「いえいえ。」

苺タルトを譲ってもらって、ほくほくしていると
ふと、チケットのことを思い出した。

(せっかく譲ってくれたんだし、チケットあげちゃおっか。

友達いないんだから、そもそもあげる人いなかったわけだし。)

「あのー、お兄さんすいません。」

「はい？」

「お兄さん、友達いますか？」

「…え？」

あ…やってしまった。