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「___で、そのときに…」
今日も今日とてだらしない顔をしてプツプツ“好きな人”の話をするセンラ
もはや真面目に聞く気もなくスマホをいじって曖昧に返事をする志麻
2人の温度差は、他人からすれば会話にすら見えない
「聞いてる??聞いてくれてなくない?」
「あーーー…聞いてる聞いてる」
「聞いてないやつの反応やな??」
「なに、何の話」
「エッッ全くもって聞いてくれてないやん、ビックリしたわ今」
スマホからセンラに視線を移した
だってその子の話、かれこれ2年間は聞いている。
そりゃあ聞き飽きるだろう。
そも、なぜそんなにネタが尽きないのか。
ほとんど同じ話がないのは逆に怖い。
「よくそんなに話すことがあるな」
「ん〜?なにが?」
「いや、その好きな子の話。毎回ちゃんと違う話するやん」
「まぁ好きやからな」
「理屈がなにひとつ理解出来ん」
好きな子について志麻が知っていることと言えば。
幼馴染であること、中学のときに相手が引っ越したのでもう4年は会えて居ないこと、立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿はユリの花…だということ。
正直_小学生のときかららしいので_6年間もただひとりを好きだと言い続けるセンラにはもはや尊敬すら覚える
その間に彼女が居なかったか、というのはまた別の話として。
志麻はそんな彼女の話をするときのセンラの顔が嫌いじゃなかった
キラキラと少年のように無邪気な顔をして素直に話す姿はなんだかんだ言って可愛いものなのだ
少し微笑ましく思い、口角が上がる
それに気がついたセンラが首を傾げて、
「なに?なんで笑ったん。彼女からメッセでも来た?」
「いんや?お前のこと」
「なんやねん気持ち悪い」
「ハハッ うぜー」
前言撤回。こいつは可愛くない。
もうこんなやつほっといて彼女にメッセージ送ろう。
「うわ今度こそ彼女か!ニヤケてもうて!仲良しかよ!」
「仲良しだっつの。お前はもう聞いてやるから話しとけ勝手に」
「スマホ片手に!?それは聞いてるうちに入らへんやろ!」
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作者名:ななし | 作成日時:2021年8月12日 0時