戦国時代が好きな彼女は武将達に愛されるそうで

漆、惹かれていく虎 ページ7

｢それで、こちらの生地等を使って、少しばかり特殊なものにしたいのですが｣
女｢どんなものをお作りになられますか？｣
｢西洋…いえ、南蛮風なのですけれど｣
懐から、予め用意しておいたデザイン画を渡す。
女｢分かりました。やってみますので、完成しましたら引き取りに来てもらいますか？完成には一月程かかると思われますが｣
｢分かりました。では一月経ちましたら、こちらへお伺い致します｣
ーーー
簪や帯を買おうかと一人でふらついていると、後ろから声をかけられたため、立ち止まる。
佐助｢おっ、時雨ちゃんじゃないのー｣
(ちゃん付けなのはスルーしておこう)
後ろを振り向けば、ニコニコとした笑顔で近づいてくる佐助さんがいた。
｢え…近寄らないで下さい｣
(胡散臭いっていう印象がまだ消えないんだよね……)
佐助｢ちょっとちょっと〜俺様何かしたっけ？｣
当の本人はと言うと、頭を長い人差し指で掻きながら、精神的ショックを受けているのだった。
｢初めて出会ったあの日から、どうも胡散臭いという印象が消えず、何故か私は不思議と警戒心を抱いてます｣
(苦無を投げつけられたら誰だって警戒するし…)
佐助｢そこまではっきり言う子初めて見たよ！？心が痛むぜ…｣
胸に手を当て、｢いたた｣と演技をしているのを無視し、佐助さんに聞いてもらおうと話を変えた。
｢そんな事より佐助さん｣
佐助｢そんな事！？って、え？無視しちゃうの？｣
｢簪や、帯が欲しいのですが｣
佐助｢完全に無視だね？…帯と簪はすぐそこにあるから、行こうぜ｣
佐助さんが言ったお店は本当にすぐそこにあり、こじんまりとしていたがお店は人気のようだった。帯もすぐ隣のお店だった為、最初に帯を選んだ。(目に入った桃色のをすぐ購入)
佐助｢着物が、若菜色と鮮緑色だから、簪はこの牡丹の白に赤でいいんじゃない？というかあれ着物というより戦用のだよね｣
(…なんで知ってるのかな)
｢そうですよ。戦えのかは分かりませんけど、置かせて貰ってる身ですし、何かしなければと｣
佐助(いい子っぽいけど、血はあまり見た事なさそうだな)
佐助｢簪、貸してみな。付けるよ｣
早速、佐助さんに簪を付けてもらった。この場に鏡がないのが残念だ。
−−−
暫くして、幸村さんが何故か戻ってきた。
｢お疲れ様です、幸村さん｣
苦笑いをしながら言うと、眼をこれでもかと言う位に見開き、金魚みたいに口をパクパクし始めた。
この時点で、幸村は惹かれていったのである。


17/12/25.修正

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