戦国時代が好きな彼女は武将達に愛されるそうで

肆拾弐、虎、竜と対峙す。 ページ42

虎と竜の間に火花が散る。双方、一歩も動かず、ただ目の前にいる敵を睨みつけていた。
とは言え、ただ単に睨みつけているという訳ではない。お互い己の武器を持ち、正に一触即発の雰囲気を醸し出していたのだ。

小十郎｢…すまねえな、うちの政宗様が｣
｢あぁ、いえ、気にしていません。でもあれは何を争っているんですか？｣
横に垂らしている髪をくるくると弄り、退屈しのぎに尋ねる。
佐助｢…時雨ちゃんじゃない？｣
｢は？｣
すると意外な言葉が返ってきた。
顔を上げ、佐助さんの指差す方を見てみると、成程、確かに一触即発の二人がいた。

幸村｢譲れぬ！時雨殿は武田家に来られたのでござる！武田家をお選びになさったのだ！｣
政宗｢HA！そんなの関係ねぇな。俺が一目惚れした女だ。しかも腕がたつ。俺の女に決めたぜ！｣
｢はぁ、それはどうも｣
訳が分からず適当に促していると、佐助さんに少しは危機感を持ってよと呆れられてしまった。

小十郎｢…茶でも飲んでくれ。昼時だから飯も出す｣
｢昼餉って普段食べませんよね？悪いから良いですよ｣
小十郎｢政宗様はやると決めたら、最後までやる御方だ。少なからず迷惑をかける事になる｣
成程、申し訳なさにお昼を馳走しようとしているのだ。
佐助｢良かったじゃん時雨ちゃん。右目の旦那の料理は美味しいよ？｣

小十郎｢なんでてめぇが知ってやがる、猿飛｣
佐助｢さぁねー｣
そろそろ止めに入ろうと思い、睨み合いを続けている二人の間に入った。
｢お二人方、みっともないですから喧嘩はやめてください｣
瞬間、身体が宙に浮いた。
幸村｢なっ｣
政宗｢Hum...？なら一緒に寝てpartyしようじゃねえか。俺の御殿に連れてってやる｣
私の何かが警告し始める。どくどくと心臓は早鐘を打ち、たらりと冷や汗が流れる。
政宗｢痛くしねえ、優しくしてやる｣
じたばたと抵抗を試みるも、するりと上手く交わされ無駄に終わる。
駄目だ。本当に危ない。何かを失ってしまいそうな気がする。

小十郎｢政宗様！ご自重なされよ！｣
そこに救いの手が差し伸べられた。
｢幸村、佐助さん！お助けを！｣
抑、事の始まりは幸村が奥州の甘味、ずんだ餅を食べたいと言った事からの始まりだ。
つまり幸村にも非がある、と私は思うのだが。


この後政宗さんは小十郎さんに叱られ正座させられた。


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亀更新でほんとすみません。
そろそろ続編出したいなと思っております。








19/3/12.修正

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