再会 ページ8
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高三の春、卒業式の日に好きな子に告ると息巻いていた友人相手に、私はキスをしてしまった。
しかも、その直後は何も言わずに気まずさから逃亡し、なんの連絡もしなかった。
何日か過ぎれば黒尾から何かあるだろうなんて甘えた考えは通用せず、時が過ぎれば過ぎるほど友達を裏切った罪悪感から、私の方から連絡を取るのは気まずくなってしまった。
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「お前、連絡無視しやがって…!」
「え!?ごめん、連絡してくれてたの…?」
見るからに怒り始める黒尾に、それはホントにごめんと謝りながら、大学入ってすぐに携帯水没してデータ消えちゃって…と嘘偽りなく説明する。
まさか、最後にあんなことをした私相手に、連絡をとろうとしてくれていたなんて、相変わらず黒尾の人の良さには感心する。
「ハア!?Aにとって俺はその程度なんだ?!」
研磨と会ってたんならそこで教えて貰えよ!と、なぜかシクシクと泣き真似をする黒尾は、訴えるように私と研磨を交互に指でさしている。
「クロ、指さすのやめなよ」
「ゴメン」
卒業式の日、私とキスしたことなんか忘れてしまったのか、昔のままのテンションで話す黒尾は、これまた懐かしい気持ちになるやり取りを研磨と繰り広げている。
私も黒尾に乗っかって忘れたことにしてしまおうとその場で笑い飛ばし、連絡をとらなかったことと卒業式の分を含め、本当にごめんねとだけ謝った。
「でも、いつかは絶対会えると思ってたし」
ほら今日みたいに?とヘラヘラ笑っていると、研磨が合わせてくれなかったら会えなかったケド?とド正論を返してくる黒尾。
「…まぁいいよ。夜久と海にも連絡してやれよ?」
「いや、海にはちょっと前にあった」
買い物してる時にばったり!と説明し、夜久とは仕事柄ちょいちょい電話してるよと馬鹿正直に全て話すと、俺が最後かよ…とつまらなそうな顔をする。
「大学は留学とか、資格とるので忙しかったし、
卒業してからは仕事がやばくて」
黒尾とは全然話せてなかったよね。ごめんね。
そう色々なことを飲み込んで謝れば、仕方ないとでも言うように肩をすぼめた黒尾は、今会えたことに免じて許そうと私に小さく笑いかけた。
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西川あや(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます!時間はかかると思いますが、必ず完結させますのでお待ちください! (3月30日 20時) (レス) id: 6a34db6c3e (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 今回のも、面白かったですこれからもがんばってください。 (3月30日 18時) (レス) @page23 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 続き待ってます頑張ってくださいおうえんしちょるんで!!!好きやでこの作品 (3月29日 23時) (レス) @page21 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西川あや | 作成日時:2024年3月26日 15時