拠り所 ページ6
◇
早朝、シャワーを借りて昨日来ていた服に再度袖を通した私は、一度家に帰って違う服に着替えるため、研磨の家を出る準備をする。
「ありがとう、研磨!
話したら凄いスッキリした!」
今日も頑張ります!と敬礼のマネをすると、ふふっとあどけなく笑う研磨は、何も言わずに手を振って私を送り出した。
・
「ねぇねぇ!一条さん知ってる?」
「なんですか?」
研磨の家で号泣した数日後、更衣室で制服に着替えている最中、スマホを片手に何やら騒ぐ先輩たちが、見てみてと私にスマホの画面を見せてくる。
「コヅケンの匂わせ!」
数日前に話していたばかりの人物が話題に出てきたことに合わせて、匂わせという言葉に驚き、私は…あのコヅケンに?と素で聞き返す。
「そうそう!今朝ネットでバズってて」
いつそんな話が出ていたのか知らないけど、もしかして研磨にも彼女がいたんじゃ…と、家に泊まってしまったことに罪悪感を感じ、少し焦り気味に私も自分のスマホで調べる。
「あ。」
投稿の内容自体はただのゲームの宣伝か何かの写真だったが、部屋の本当に隅っこの方に、私が押し付けたブランドコスメの紙袋が写っている。
多分、私が置いていったのを適当に置いたせいで、写真撮った時に写っちゃったんだ。
「…化粧品なら男性でも使う人はいますし、私物なんじゃ」
そう言いかけたところで、先輩がそれは無いと断言する。
「コヅケンは化粧品なんかいつも使わないし、
これ、超絶高いデパコスの紙袋よ?」
絶対女にプレゼントするの。
そう探偵のように言って鏡を思い切り閉じる先輩は、研磨の熱狂的なファンらしかった。
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西川あや(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます!時間はかかると思いますが、必ず完結させますのでお待ちください! (3月30日 20時) (レス) id: 6a34db6c3e (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 今回のも、面白かったですこれからもがんばってください。 (3月30日 18時) (レス) @page23 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 続き待ってます頑張ってくださいおうえんしちょるんで!!!好きやでこの作品 (3月29日 23時) (レス) @page21 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西川あや | 作成日時:2024年3月26日 15時