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拠り所 ページ5













「だからやめとけって言ったじゃん」


「うぅ、だってぇ」




イケメンでお金持ちで、身長も高いし。


何より、研修中ミスしてばかりの私のことを、良いCAだって初めて認めてくれた人だったから。




ご飯に行く前に直した化粧は完全に崩れ落ち、真っ黒であろう目元を指で擦る。

歳をとると涙脆くなるというのは本当なのか、高校を卒業してからやたらと私は泣かされてばかりだ。









「もう結婚式のこととか考えてたのにさぁ」


「…重」



そりゃ交際期間はたかが数ヶ月だが、慰めるどころか傷を容赦なく抉る研磨を私は睨みつける。








「…ハヤトさん、だっけ。

あの人、なんでAと付き合ってるのかわかんなかったし」


「最低。」



私はそんなにダメな人間かと不貞腐れると、Aがもったいないと不意に笑う研磨を見て、私は照れ隠しのために研磨の肩を軽く殴った。





























時刻は深夜3時40分。







「もっと上品な大人の女性がいいんだって!!」


「私が下品で子どもだって遠回しに行ってる?」



「っていうか、

普通振るタイミングで欲しかった物プレゼントするぅ!?」







こんなの貰ったって使う訳なっ…!


何杯目かのカフェオレを飲みきり、発狂しながら紙袋を投げかけた所で、私はそっと静かに胸の前でプレゼントを抱きしめる。








「…下品で幼稚な女は無理って、

ハッキリ言ってもらった方が良かった」



「ふっ、情緒不安定すぎ」


「ねぇ今の全然笑うところじゃない」



なぜか楽しそうに笑う研磨に、研磨のファンの子にでもあげればいいじゃんとリップの入った紙袋を押し付ける。



黙って袋を受け取り、ポイッと遠ざけるように後ろに置く研磨を横目でみながら、私は頬杖をついてそっぽ向く。








「A」



名前を呼ばれて顔を向ければ、目の前には研磨の顔があって、私は反射的に腰をのけ反って距離をとる。




何も話出さない研磨は、私の瞳をじっと覗いていて、さっきまでワンワン騒いでいたから分からなかったが、しんっと静まり返る部屋は時計の針が動く音だけが響いている。






研磨が少し動くと、耳にかけていた後れ毛が研磨の顔に影を落とす。

高校の時に金髪にした髪の毛は、もうほとんどが黒くなっていて、何となく毛先に残る金を見ていると、スルッと頬を撫でられた。









「…もう、彼氏なんて作らない」


「うん。それがいいんじゃない?」










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西川あや(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます!時間はかかると思いますが、必ず完結させますのでお待ちください! (3月30日 20時) (レス) id: 6a34db6c3e (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 今回のも、面白かったですこれからもがんばってください。 (3月30日 18時) (レス) @page23 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 続き待ってます頑張ってくださいおうえんしちょるんで!!!好きやでこの作品 (3月29日 23時) (レス) @page21 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西川あや | 作成日時:2024年3月26日 15時

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