東京合宿 ページ7
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「わわっすみません」
相手もすごく驚いたようにこちらに駆け寄ってくると、リカちゃんが落ちてたので山口と遊んでたんですとおかしなことを言う翔陽くん。
驚かすつもりは無かったと本当に申し訳なさそうに言う翔陽くんには悪意はなく、ごめんなさい！と必死に謝る山口と呼ばれる男の子も、慌てて仁花ちゃんと私を心配した。
「うっせぇぞ日向」
「君ら、デカい声じゃなきゃ喋れないの？」
そして、翔陽くんの後ろから出てきた悪意の塊たちは、床に尻もちをつく私と気を失う仁花ちゃんを見た途端、驚いたように顔見合わせる。
何かあったのと冷静に状況を把握しようとする眼鏡くんに、リカちゃんが落ちてて！と人形を振り回す翔陽くんを遮り、そばかすの山口くんが的確かつ端的に状況を説明する。
「…ごめん、仁花ちゃんが」
驚いてまだ心臓がバクバクと音を立てる中、気を失った仁花ちゃんを部屋まで一緒に連れて行って欲しいとお願いすると、身長が一番近い翔陽くんと私で、両サイドから仁花ちゃんの腕を肩に載せた。
さて人形も見つかったことだし女子の部屋まで行こうと、なぜか着いてくる翔陽くん以外の烏野一年生たち。
仁花ちゃんが心配なんだろうな…と仲間愛に感動していると、持ち主不明の人形の謎を突き止めようと、何やら話し合い始めてしまう。
「ほんと誰のだろうなーリカちゃん」
「ここに小さい子どもとか来てたら逆にホラーじゃない？」
タイミングがなく私のものだと言い出せずにいると、お前の妹が鞄とかに入れたんじゃねぇのという飛雄の一言により、翔陽くんに疑いを向けられる。
お人形が恐ろしく似合わない飛雄がフリフリの服のリカちゃんを持ってくれているが、なんか犯罪臭やばいなと隣を歩く飛雄をチラチラ見ていれば、全く同じことを眼鏡くんが言う。
「うっせぇ！じゃあお前が持てよ！！」
「いやだね」
「……飛雄、夜だよ」
しーっと声の大きい飛雄を黙らせるために言えば、飛雄は何か言いたげな顔をした後に静かになった。
「…ん？
これ、リカちゃんの服に名前書いてありますよ」
ギクリとして飛雄の口を塞ごうとすると、一条Aってひらがなで書いてありますけどという言葉により、四人の視線が私に集中する。
お願いだから先生と夜久にだけはチクらないで…とお願いした時の眼鏡くんの顔は、一生忘れられないくらいトラウマになった。
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
