埼玉合宿 最終日 ページ38
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「すげぇな今の…」
「ボールも翔陽も一瞬止まって見えた！」
何があったのかと興味津々で近づくと、虎とリエーフの言葉から飛雄と翔陽くんの新しい速攻がやっと成功したのだと分かる。
うわっ見てなかった！最悪！と一人悔しがっているうちに、タイムアウト終了の笛が鳴り、みんなも慌ててコートに戻って行った。
「3番3番！」
「リエーフ手振るな！」
みんなが試合をしている中、こっそり後ろのコートを盗み見ると、今度は烏野がシンクロ攻撃を仕掛けて梟谷を混乱させている。
今まで失敗し、挑戦し続けてきたことがどんどん成功していく様は、見ているこちらも気持ちが良い。
「っおい集中しろ！」
そんな夜久の声にびくりとして肩をあげると、夜久はコートの中に向かって怒鳴っており、その相手は研磨と黒尾らしかった。
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最後、海のスパイクでマッチポイントをとると、音駒対森然の試合が終了する。
「海、ナイスキー！」
みんなナイスファイト！と帰ってくるみんなに一人一人とハイタッチをして迎え入れる。
そして、猫又監督と直井さんの周りに集合して黒尾たちが話を聞くのと同時に、私はちゃちゃっと後ろにドリンクを設置し、救護バックやバインダーを片付け始める。
「試合、おつかれさん。
中盤ちっと隣のコートに気とられてたな」
お前たちにも経験があるだろうが、隣のコートがスーパーレシーブや衝突、怪我なんかで一時騒がしくなることがある。
どんな時でも、自分たちのいるコートに集中しなさいと少し笑いながら注意する猫又監督に、主に黒尾がギクリとした様子で返事した。
みんなが水分をとって試合について話し合う間に、烏野対梟谷の試合を覗きにいくと、なんと久しぶりの木兎しょぼくれモードが発動している。
「木葉さんっ！」
「任せろ！」
木葉にトスがあがるのを寂しそうに眺めている木兎。
ラリーの間、終始木兎はボールに触ることはなく、かろうじて試合に混ざっているだけの人形みたいな動きをしていて、囮としてもなんの働きもしていない。
私の隣に来た黒尾と研磨が、試合について話すのを聞きながら、今回はどうやって赤葦が木兎の機嫌を直すのか楽しみに見る。
「っへいへいへーい！！」
最後の一本、赤葦が木兎にオープンをあげると、それを嬉しそうに見る木兎が、月島と飛雄のブロックの間を力強く打ち切った。
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
