埼玉合宿 最終日 ページ36
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5日目、6日目と合宿は順調に終わり、今日は合宿最終日。
合宿の最終日は毎年、午前中はいつも通り試合を回し、午後は食事、片付けに当てられるスケジュールになっている。
「っ研磨〜！やっと今日帰れるよ！」
「うん…長かった……」
よく耐えたね…！と感動して研磨を褒めていると、まだ終わってねぇぞと現実を突きつけてくる夜久。
後輩を励ましてるんでしょうが！と文句を言うように訴えると、お前のは甘やかしだなんておちびが言い返してくる。
鬼先輩めと夜久の頬を軽く抓れば、私の頬を片手で鷲掴みにされて、互いに幼稚なやり取りをしていると、ちょんちょんと黒尾に手招きされる。
「手首、まだ安静にしとけよ」
そうこっそり耳打ちして離れていく黒尾に、私はハーっと深くため息をつき、片思いを改めて確認する。
昨日、一昨日と寝不足な頭でよく考えたが、初めて好きになった相手には既に好きな子がいて、私が好きだと気づいた瞬間、自動的に失恋したのだと整理がついた。
「おいAー！ボケっとすんなよ！」
「…あ、うん。
って今くらいボケっとしてても良いじゃん！！」
まだ開始時間でもないよ！と夜久に怒れば、そんな私たちのやり取りを見て、黒尾がまたやってんなと少し呆れたように笑う。
切り替えるにはもう少し時間が欲しいけど、気が弛みがちな最終日だからこそ、集中して頑張ろうと気を引き締めた。
◇
そして、今年の夏合宿、最後の相手は森然。
「ナイッサー！研磨！」
サーブ権をとったのは音駒で、研磨のサーブから試合が始まる。
ボールの落下地点に素早く入った小鹿野が綺麗にAパスを上げると、ここぞとばかりに4人のスパイカーが動き出す。
今合宿最後というだけあって、最初からフルスロットルでくる森然に、コートに入っているみんなは楽しそうに顔を引き締める。
「リエーフ！落ち着いてボール見て！」
人じゃなくてボールを追いかけろと散々黒尾に言われていたおかげか、少し早めに飛び出してきた７番に釣られることなく、きちんと冷静にセッターを見るリエーフ。
3番に上げられたトスに素早く反応し、虎と二枚でブロックに入ると、完全にスパイカーを捉えた二人はブロックで先制点をとった。
「ナイスブロック！」
コンビネーションがハイレベルかつ的確な森然ほど、リエーフのブロック練習に最適な相手はいない。
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
