埼玉合宿 4日目 ページ31
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「え、なんで…」
なぜついて来たのかと驚いて聞こうとすると、痛いのバレバレだっつのと黒尾は後ろから私の肩を支える。
「お〜いAいたかー？
って、やっぱりかコイツ…！」
「…俺、氷嚢持ってくるよ」
ひょっこり角から夜久と海が顔を出すと、黒尾に支えられる私を見て、顔色を一瞬で変える。
俺は氷貰ってくると言って、製氷機のある食堂に向かう夜久。
そんな二人に向かって頼んだと声をかける黒尾は、夜久と海の背中が見えなくなると、心配を含んだ目でこちらを見た。
「…痛いか？」
折れてねーだろうなと優しく私の手をそっと持ち上げる黒尾は、内出血ひでぇと私が頑なに見なかったものを呆気なく口にする。
「ねぇ、なんでわかったの？」
結構上手く隠せたと思っていたが、仁花ちゃんにもバレてしまっただろうかと不安になって聞くと、皆気づいてなかったから大丈夫だと教えてくれる。
じゃあなんで黒尾はわかったのと私が不思議に思ってもう一度聞くと、お前のことならすぐわかるよと優しく笑う黒尾に、私の胸はキュンと鳴った。
「あれ、」
「うん？」
黒尾相手にときめくなんてどうしちゃったんだろう…と、失礼ながら首を傾げて顔を上げると、同じく首を捻る黒尾。
…好きかどうかは、キスしたいかどうかでわかると月島は言ったけど、正直、黒尾とキスがしたいなんて思わない。
しかし、もし黒尾に彼女ができたとして、他の子とそういうことして欲しくないな…なんてボケっと考えていると、私の手首を握っていた黒尾がこれはどうだと急に痛い方に関節を曲げた。
「いっ、たいわ！！！」
「あ、悪い」
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
