埼玉合宿 2日目 ページ21
◇
梟谷に負けたペナルティとして、『森然名物 爽やか！裏山全力ダッシュ！』をする''私たち''。
「っだぁあ！！！！」
「だっはは、相変わらず面白いなぁ！」
「Aさん足速いですね」
Aも走っても良いぞーという直井さんの余計な一言により、夜久という悪魔がそれに嬉しそうに同意し、本当にペナルティに参加することになった私。
試合こそしていないが、男子顔負けで走りきる私を見て、他校の監督や選手たちが楽しそうに私たちのペナルティを観覧しに来る。
「みんな水分しっかりとれよー」
そう黒尾が全体に呼びかけていると、坂道ダッシュならこれからも一緒にできるなと鬼の笑顔を浮かべる夜久。
私、マネの仕事あるんですけど…？と走り終わった後にドリンクを配った私は、既に筋肉痛になった足を解した。
◇
「Aちゃん」
お昼休憩の時間が終わり、四試合目が終わったタイミングで潔子ちゃんと仁花ちゃんに声をかけられる。
「OBさんから差し入れでスイカ貰ったらしいので、
みんなで切ろうってかおりさんが！」
「やった〜！スイカ大好き！」
差し入れのスイカに両手を挙げて喜び、事情を優生に説明した私は、みんなに伝えておいて！と仕事を任せて二人とともに食堂へ向かった。
・
食堂のおばさん達に調理場使用の許可をもらい、包丁とまな板、お皿を借りると、切る専と食べる専、見る専で私たちは自由に過ごす。
かおりと潔子ちゃんが奮闘する中、私と雪絵はちょっとだけならいいよねと切った側から先に手をつける。
「あんたら…」
そう言って呆れるかおりに美味しい！と笑うと、ようございましたねと足らわれてしまった。
「私ラップ貰ってくるね〜」
「はい！お願いします！」
シャクシャクと小さな切れ端を食べ終わり、食堂で座りながらお喋りをするおばさん達に、ラップ借ります！と声をかける。
今日のご飯なんですか！とついでに聞くと、なんだと思う〜？とおばさん達はニコニコ笑い、Aちゃんの好きなカレーです！とわざわざ冷蔵庫の中を見せて教えてくれた。
「うわー！楽しみすぎる！！」
プリンもある！と嬉しくておばさんたちにお礼を言えば、おばさんたちは木兎くんにも教えてあげてと親指を立てる。
毎回一緒に騒いで食べているのを見られているのか、セットで覚えられていることに屈辱を感じながら、私はもちろんですと笑い返した。
◇
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
