埼玉合宿 初日 ページ18
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「眼鏡くんファイトー！」
眼鏡くんが一枚ブロックで頑張るも、木兎のブロックはなかなか止められない。
「Aさん、お願いします」
「おーす！」
赤葦にボールを出すためにアタックラインの少し後ろに立つ私は、いつもより近くでネット際が良く見える。
数度目のスパイクで木兎のコースを上手く絞っていく眼鏡くんだったが、何度読みが当たっても後ろに吹っ飛ばされた。
気持ちよく決められて楽しそうな木兎とは対照的に、しんどそうに嫌々ブロックを飛ぶ眼鏡くん。
「じゃ、2枚でどうだ？」
「2枚上等ー！」
そう言ってこちらに近づいてくる黒尾の後ろでは、リエーフがべっとりと倒れていて、木兎のお望み通り黒尾もブロックに加わると、二人の技術の差が歴然となる。
音駒と梟谷の主将からアドバイス…というか、なんだか一方的にプレーに口出しされる眼鏡くんは、これまでに見たこともないほど不機嫌になっていき、見ているこちらが可哀想になる。
赤葦と私、どちらが止めに入るか目配せをして押し付け合っていると、いつの間にか雲行きが怪しくなり、眼鏡くんは体育館を出ていった。
「何、どうしたの」
なんか地雷踏んだ？と黒尾に聞くと、このままじゃ烏野のチビちゃんに負けちゃうよって挑発を…と口元を抑えてこちらを向く。
まさか烏野のチビちゃんを対等どころか、かなわない存在として見てるなんて思わなかったと気まずそうに呟く黒尾。
そんな黒尾に、これを機に人をすぐ煽る癖治そうねと優しく肩を叩いてあげれば、お前にだけは言われたくないと返された。
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宣言通り第2体育館を早めに抜け出そうと時計を見ていると、夜久と走、招平がタイミングよく入ってきて、夜久が木兎にスパイク打ってくれと頼んでいる。
「…月島、大丈夫かな」
「あの子、月島って言うの？」
知り合いだったんだねと先程までそんな素振り一切見せなかった赤葦に驚いていれば、セッティングについて影山に質問された時に色々聞いたののでと返される。
眼鏡くんじゃ可哀想だし、山口くんに習ってツッキーと呼ぶか、安牌を狙って月島くんでいくか迷うな……と真剣に考えていると、夜久がこちらに向かって始めんぞと手を挙げた。
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
