部活or彼女 ページ12
◇◇
音駒での短期合宿を終え、とうとう我々学生は夏休みに入った。
午前中の部活終わり、次の長期合宿に向けて新しいタオルを探しにショッピングモールにきた私は、一人で色んな店を練り歩く。
カップルで海やプールに行くための買い物する人が溢れかえる中、ぼっちの私の横をキラキラした女子のグループが横を通ると、私はその中に偶然見知った顔を見つける。
「っあ！美華ちゃん！」
思わずそう声をかけると、猫目でスタイルの良い女の子がピタリと立ち止まり、驚いたように振り返った。
「Aちゃん…！？」
久しぶりー！なんてお互い驚きながら駆け寄って挨拶をしていると、誰この子可愛い〜と私を褒めてくれる美華ちゃんのお友達に、私はデレデレしながら初めましてと挨拶する。
「この子はAちゃん！
音駒でバレー部のマネージャーやってて、優の…」
不自然に止まった美華ちゃんを不思議に思っていると、美華ちゃんの友達は急に敵意を含んだ顔になる。
「美華ぁ、あんなやつ忘れちゃいなよ！」
「そうだよ！
彼女より部活優先とかありえない！」
そんな友達の言葉に同意する訳でもなく、ただただ悲しそうに俯く美華ちゃんに、大将との関係を察する。
「…今、少しだけ話せないかな？」
10分でもいいから二人きりでと美華ちゃんとその友達に聞いてみると、戸惑ったような顔をしながらも、美華ちゃんも友達も了承してくれる。
二人で抜け出した後、三人がけの椅子にひとまず座ったはいいが、完全に見切り発車で行動を起こしてしまった私は、何から話始めようかと必死に思考を巡らせた。
「…Aちゃんは部活帰り？」
「え？あ、うん。そうだよ」
お疲れさまと気を使って話しかけてくれる美華ちゃんに、分かっていながら大将と何かあったのかと聞いてみると、美華ちゃんは私たち別れたのと淡々と言う。
「…優、最近部活ばっかりで、
私のことなんか興味無いんじゃないかって思って」
私より部活のが大切なんでしょって。
それなら別れようって勢いで言っちゃったのと、明らかに後悔が滲み出る表情で語る美華ちゃんに、春高に向けて戸美も追い込んでるんだなと考えつつ、そうだったんだねと頷く。
「私、一番言いたくなかったこと言っちゃった…」
面倒臭い女でしょと自嘲気味に笑う美華ちゃんを見て、まだ大将のことが好きなのだと分かった。
◇
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
