東京合宿 ページ11
◇
「じゃあ2週間後、今度は埼玉で」
「うん。またね」
午後の試合が終わり、潔子ちゃんと仁花ちゃんに挨拶をしていると、飛雄と私が話さないことを不審に思った潔子ちゃんが、影山と何かあった？とこそっと聞いてくる。
そんな潔子ちゃんに心配無用！と笑って返せば、ちょっぴり安心したように仁花ちゃんとバスに乗り込んでいく。
「菅ちゃん、東峰くんもまたねー！」
「おう！またなイッチー！」
「スガ、イッチーなんて呼んでたっけ」
そんなに仲良くなったのか〜とほのぼの話す東峰くんに、ノリ。と急に真顔になる菅ちゃん。
そんないつも通り面白い彼らはバスの中からも全力でこちらに手を振ってくれていて、徐々に遠ざかるバスを音駒の全員で見えなくなるまで見送った。
・
「アイツらいないと静かになるなー」
「うん、急に寂しい」
田中くんも西谷くんも本当に良い子だった…！と涙を流す振りをすれば、お前はこき使ってただけだろと黒尾にジトリと見られる。
「軽くミーティングやってサーブ練したら今日は帰るぞ」
そう全体に声をかける黒尾に、まだこんな時間なのに練習終わりなんですかー？！と驚いたようにリエーフが声を上げる。
「なんだリエーフ、練習足んなかったか？」
「っそ、そんなことないです！」
余裕なら筋トレしろよと楽しそうに絡む夜久に、オーバーワークは故障の元！と、私は夜久とリエーフの背中を押して体育館に向かった。
◇◇
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
