108 帰路 ページ8
「練習試合ん時の2年セッターのレベルが低かったとかじゃないと思うんだよな、青城入ってるわけだし」
「ただあの及川ってやつが、”青城”ってチームを熟知して100パーセントの力を引き出せるって感じじゃねえのかな……」
ええもう仰る通りですよ烏養さん。
すごいですね、分析に長けてますね。
矢巾も優秀な選手であることに違いない。
ただそれを上回る及川の経験とセンスと努力。
簡単に超えられない、積み重ねた壁があるのだ。
「佐藤さん、そういや青城のマネやってんだよな。どんな感じだった?」
「うえっ?! えーと……はい、まあ……」
思い出したように話を振る烏養さん。
やめて、私に聞かないで。あまり後輩を売るようなことはしたくないの……。
集まる視線の中、返答に困っていると日向くんの元気な声が聞こえた。
「大王様かっけえ!! 早く試合したい!!」
「おう! サーブ俺狙ってくんねえかなあ?! とりてえ!!」
「ノヤさんもかっけえ!」
「頼もしいな……」
青城の試合を見て、目を輝かせる2人。
私たちの杞憂なんてお構いなしだ。
微笑ましいこの2人に思わず笑みがこぼれる。
「あっオイ見ろ翔陽! テレビだぞ!!」
「えっっ! テレビ?!」
「こら〜あんまり騒いじゃ駄目だよ」
珍しいものを見てさらに目を輝かせて騒いでる。
テレビ局の人からも静かにと注意されていたが、そのとき小学生に間違われショックを受けていた。
青城の試合が終わり、私たちも会場を出る。運転は武田先生だ。
もちろん、青城が勝ち私たちの次の相手は決まった。
バスが出発すれば、寝息が聞こえてくる。
隣の潔子ちゃんもいつの間にか窓に寄っかかって寝ていた。
私も車の心地良い揺れに眠気を誘われる。
ああ、上瞼が重い。下瞼とくっついて離れない。
このまま抵抗せずに眠ってしまおうか。
「静かですねえ……」
「2試合したしな。どっちもストレートで勝ったからまだマシだけど」
普段からは想像できないくらい静かなバスの中、武田と烏養の声が響く。
「明日以降も勝てば日に2試合な上、相手は強くなっていく。毎回気合入れなおさねえとな」
「ハイ……」
「あ、そうだ佐藤さん、さっきの青城について……て、あれ。寝てんのか……」
「ふふ、今日たくさん応援してもらいましたからね」
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アネモナ - 面白くて一気読みしました! スガさん、ミステリアスボーイキャラだったのか〜。更新頑張って下さい (2020年7月4日 12時) (レス) id: 8d7833d063 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - ますしんさん» 笑っていただけて嬉しいです。黒尾じゃありませんでしたね…笑ありがとうございます。頑張ります! (2020年6月30日 19時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - ねこじゃないっ!!ってところ笑いました!!個人的には黒尾がいいなーと期待してます笑。今後の更新も頑張ってくださいね! (2020年6月29日 4時) (レス) id: ab58ad65d3 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - kkkさん» ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです! 更新頑張りますね。 (2020年6月15日 22時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
kkk - 一気に読みました!とても面白かったです!!更新楽しみにしてます(^^) (2020年6月14日 23時) (レス) id: e5bc294a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西 | 作成日時:2020年5月31日 23時