105 緊張 ページ5
「ポジションはMBだけど10番がエースって感じだなー」
「な。あんな小さいのになー……」
第2セット開始後、横にいた男子たちの言葉。
ほう……日向くんがエースとな……。
嶋田さんと滝ノ上さんもその言葉に顔を見合わせている。
色々思うことはあるが、囮として確実に機能してきているのは証拠だ。
日向くんが聞いたら喜びそう、後でこっそり教えてあげようか。
2セット目も互角。一進一退の攻防。
だが、1セット目と違う所はローテがずれた分、青根くんにがっつり対峙するのは東峰くんということ。
日向くんみたいな変則性はなく、パワーで勝負する東峰くんの方が伊達工もブロックしやすいのだろう。
現に今も、3枚ブロックで東峰くんはドシャットされた。
確かにこれが続くと心折れるわな……。
「ドンマーイもう一本ッ!!」
そろそろ私の声援も同じことしか言ってない。”ナイス”と”ドンマイ”しか言ってない。
逆にそれ以外にあるのだろうか。あるのであれば教えてほしい、切実に。
「っしゃ! ブロックポイントオ!!」
「よし! これで次伊達工が得点すれば、あのデカい7番は後衛に下がる……!」
試合も終盤。先に20点代に乗りたいところではある。
ブロックは伊達工だけの武器じゃないというところを月島くんと東峰くんで魅せ、流れに乗ってきた。
至るところから声が聞こえてくる。皆この試合に関心が向いている。
「ガマンだぞ……丁寧に行けよ……!」
今現在、22−20で烏野がリードしている。
だが、点差は離れていない。ここでもし逆転でもされたら最悪だ、3セット目はどう考えても烏野が不利になる。
隣の人たちもそうだが、今すごくドキドキしている。
「チャンスボオオオッ!!」
西谷くんの華麗なレシーブが影山くんのもとへキレイに返る。
影山くんのトスは日向くんを超えてフワッと東峰くんの手へ。
1枚のブロックでは東峰くんは止められない。
「東峰くんナアアアイスキーッ!!」
「……佐藤ちゃん、なんかテンションおかしくなってねえ?」
「いや、緊張で……落ち着かなくて……!」
「分かるけど、落ち着いて! 結構周りから見られてるよ!」
「えっ、ヤダ!」
そう、青城時代もそうだったがついつい癖が出る。
見ているだけなのに極度の緊張でリアクションが激しくなってしまうのだ。
ちょっと見世物じゃないんだけど。
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アネモナ - 面白くて一気読みしました! スガさん、ミステリアスボーイキャラだったのか〜。更新頑張って下さい (2020年7月4日 12時) (レス) id: 8d7833d063 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - ますしんさん» 笑っていただけて嬉しいです。黒尾じゃありませんでしたね…笑ありがとうございます。頑張ります! (2020年6月30日 19時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - ねこじゃないっ!!ってところ笑いました!!個人的には黒尾がいいなーと期待してます笑。今後の更新も頑張ってくださいね! (2020年6月29日 4時) (レス) id: ab58ad65d3 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - kkkさん» ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです! 更新頑張りますね。 (2020年6月15日 22時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
kkk - 一気に読みました!とても面白かったです!!更新楽しみにしてます(^^) (2020年6月14日 23時) (レス) id: e5bc294a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西 | 作成日時:2020年5月31日 23時