121 手掛 ページ21
「おっ、またブロード来るか?!」
「って、あれ?!」
「ブロック、跳ばない……! ノーマークっ!?」
烏野のチャンスボール、また日向くんが横から横へ走り抜け、ブロード攻撃をするのは誰でもわかる。
だが、青城はついてこない。
日向くんはフリーで打ちこんだが、渡が反応してボールを上げた。
――わざと、ブロックを飛ばずにディグで対処して来た。
「早いなあ、対応……」
「……ゲっ、次のサーブ」
「ここで、及川……」
烏野にとってすごく嫌な展開だ。まあ及川のサーブがどこで来ようと嫌なものは嫌だけど。
いつどこでも、及川は点を獲りに来るサーブを打ってくる。
今回だってそうなのだが、珍しくネットに当たり烏野コートの前の方に落ちた。
後ろを警戒していた烏野は、取り切れず運よく青城のポイントに。
ラッキーって叫んでる青城観客共、だいぶ腹立つな。私も言ってたけど。
だが次のサーブはしっかり西谷くんが上げた。
それでも点差が開いたことによる焦りなのか、烏野はなんだかバタバタしている。
「あっぶね〜お見合いッ! ああっ、青城のチャンスに!」
「焦らないで、落ち着いて……ッ!」
危なっかしくも、何とか攻撃まで繋げている烏野。
長いラリー、このラリーを制さなければ点差も開き及川のサーブが続く。流れを、持って行かれる。
だが、日向くんのスパイクが3枚ブロックに止められたことにより、青城の連続ポイントに。
「ああああっ!!」
「お、落ち着いて佐藤ちゃん! 俺らまで焦っちゃダメだ!」
「こういう時は声だ声! とりあえず声出してけ!」
「行け行け烏野っ」
「押せ押せ烏――」
「おい、最初は”行け行け”だろ! 合わせろよ!」
「何2人でコントやってんですかあ……」
「やってねえッ! ほら佐藤ちゃんも!」
「行ッ……?!」
「あれ、烏養さんなんかこっち見てる……嶋田さん?」
「……え、俺が何だ……?」
コート内ではなく、割と観客席も動揺しているのだ。
いい大人が揃って慌てふためいているのはここくらいだろう。
途中、烏養さんがこっちを見て妙な顔をしていた。
最初は私たちがうるさいのかと思ったが、多分違う。何かに、気付いたような顔だった。
……気がする。
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アネモナ - 面白くて一気読みしました! スガさん、ミステリアスボーイキャラだったのか〜。更新頑張って下さい (2020年7月4日 12時) (レス) id: 8d7833d063 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - ますしんさん» 笑っていただけて嬉しいです。黒尾じゃありませんでしたね…笑ありがとうございます。頑張ります! (2020年6月30日 19時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - ねこじゃないっ!!ってところ笑いました!!個人的には黒尾がいいなーと期待してます笑。今後の更新も頑張ってくださいね! (2020年6月29日 4時) (レス) id: ab58ad65d3 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - kkkさん» ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです! 更新頑張りますね。 (2020年6月15日 22時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
kkk - 一気に読みました!とても面白かったです!!更新楽しみにしてます(^^) (2020年6月14日 23時) (レス) id: e5bc294a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西 | 作成日時:2020年5月31日 23時