120 中盤 ページ20
「すみません! 始まってますか?!」
「おー、おかえり。始まってもう何本か点入ってるぞ」
「だーッ、不覚ッ!」
二口くんと青根くんと鉢合わせしてから、中々解放してもらえず時間を食ってしまった。
最終的には自販機でジュースを買い与え逃げた。
ほんの少し進んだ3セット目は2セット目に引き続き、互角。
おじさんたちはペットボトルに砂利を入れた応援グッズを持っていた。
私の分はないらしい。何故。
「1つ1つのラリーが長い……」
「ああ、かなりハードだろうな……」
先のゲーム以上に、一進一退の攻防が続く。
及川のサーブ、岩泉のスパイク、渡のセットアップ、月島くんのフェイント、変人コンビの超速攻、そしてパイプ攻撃。
どっちも、もう手の内は明かしたんだ。これからは地の強さが出てくるだろう。
「持って、来オオオオオオいッ!!」
試合も中盤、長いラリーで疲れが見えてきたころ。
それでも日向くんは貪欲にボールを呼び続ける。
横から横へ、突っ切るように走り抜け、飛ぶ。
小さいながらも、持ち前のすばしっこさとジャンプ力でブロックを置き去りにするのだ。
だが青城も黙ってやられ続けることはない。岩泉と松川が、日向くんを止めるがため跳ぶ。
――最強の、囮。
日向くんは、まさしく最強の囮だろう。
散らばったブロック、影山くんがトスを上げた先は、”エース”真ん中からのバックアタックだ。
中央を突破し、青城のコートに落ちたことにより現在の得点は15−15。
青城に、追いついた。
「いよいよ、これ分かんねーな」
「だな、青城もタイムアウト取って、追い詰められてるのは一目瞭然だ」
「……なんか、また緊張で情緒が……」
「また?! 頑張れ佐藤ちゃんっ!」
タイムアウト中、両チームのベンチは明らかに疲れているだろう。
青城は、入畑監督が何か話している。もしかして、ブロード攻撃の対処法……?
いや、そんな一朝一夕で対策を練られるだろうか。だが、何かしら策を考えたのは事実だろう。
タイムアウトが終了し、選手たちがコートへ入る。
たまたま……たまたま、及川と目が合った。
今は、声をかけることも手を振ることもできない。
公式アップの時と同様に、私は目を離せない。
及川は真剣な眼差しの後、軽く微笑み顔を下げた。
そして、顔を上げればいつになく集中しているようだった。
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アネモナ - 面白くて一気読みしました! スガさん、ミステリアスボーイキャラだったのか〜。更新頑張って下さい (2020年7月4日 12時) (レス) id: 8d7833d063 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - ますしんさん» 笑っていただけて嬉しいです。黒尾じゃありませんでしたね…笑ありがとうございます。頑張ります! (2020年6月30日 19時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - ねこじゃないっ!!ってところ笑いました!!個人的には黒尾がいいなーと期待してます笑。今後の更新も頑張ってくださいね! (2020年6月29日 4時) (レス) id: ab58ad65d3 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - kkkさん» ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです! 更新頑張りますね。 (2020年6月15日 22時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
kkk - 一気に読みました!とても面白かったです!!更新楽しみにしてます(^^) (2020年6月14日 23時) (レス) id: e5bc294a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西 | 作成日時:2020年5月31日 23時