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083 恐怖 ページ33

目の前の男子生徒は、私の話が通じないのかずっと大丈夫大丈夫と言っている。

 そういう問題じゃないって言ってるの。


 「愛があれば、どんなことも乗り越えられます!」


 何度目のセリフだ、もういい加減にしてほしい。こっちは生徒だから優しく言ってあげたのに。


 「付き合ってください!」


 「あのさ」

 「はい!」


 「私は職員で君は生徒。職員は生徒と異性としての関係を持ってはいけないの。持った瞬間、私のクビが決まります。セクハラで、私の人生が終わるの」

 「でも、バレなければ」

 「何度も言うけど、そういう問題ではないし、それは君のただの我儘、何より君が言うのは愛があればの話でしょ」

 「……」




 ――君と私に、一体どこに愛があるの。





 さっきまで威勢の良かった男子生徒は、途端に顔が曇りだした。

 冷たく言い過ぎたかもしれないが、こうでも言わないと話が終わらないだろう。






 「男好きのくせに」


 「……は?」



 私の言葉を最後に、態度が豹変した男子生徒はじりじりと私に近寄ってくる。

 ちょっと待ってちょっと待て、怖いから。

 私と彼にまだ距離はあるけど、教室を出るには彼を突破しなければならない。

 教室から出たところで、私より身長の高い男子高校生から逃げられるのかというところはある。



 「知ってんだぞ、お前男好きのクソビッチだろ」


 「先生にお前ってなんて口のきき」

 「うるせえッ!」



 私の声を遮って出された突然の大声にビクッと怯んでしまう。

 これ、マジでやばいやつだ。

 逃げなきゃ、と頭では思っても体が動かない。

 それでも彼は近付いてくる、この一触即発の状態。




 「……っ」


 「あ、待てッ!」


 「うあっ、いった……ッ」



 隙を見て逃げようと走り出したが、後ろで1つに結んだ髪を掴まれる。

 何の躊躇もなしに握った彼の手で、何本か髪の毛が抜け、私も後ろに引っ張られる。



 「今逃げようとしたってことは絶対誰かに言うだろ」

 「い、言わない……っ」

 「じゃあなんで逃げようとした」

 「こ、怖かった、から……」

 「なんで怖いんだよ。なんかされると思った? 心外だな〜」



 私の髪を後ろに引っ張りながら話してた彼に、私は恐怖で抵抗できなかった。

 そして、勢いよく髪を握った手を下に振り降ろし、私も後ろに倒れる。



 「もう逃げられないよ先生」


 その言葉で、私は恐怖に支配された。

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ぴえん - めっちゃおもろくてもうとにかく好きです。ー日本語が変なのは気にしないでくださいー (2020年8月3日 10時) (レス) id: 243282b2cc (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - しらすパンさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。頑張ります! (2020年5月31日 23時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
しらすパン(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2020年5月29日 21時) (レス) id: d0609b57e9 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - みずきさん» ありがとうございます。今この時世ですからね、お互いステイホームで頑張りましょうね! (2020年5月17日 19時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - コメ失礼いたします!一からすべて読ませていただきました。とてもおもしろかったです!体調に気をつけて更新頑張ってください。応援しています!(*´∀`) (2020年5月17日 0時) (レス) id: bace071e6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西 | 作成日時:2020年5月16日 21時

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