県立烏野高等学校、事務職員です。【２】

081　条件 ページ31

外の若干薄暗い空に季節の変わり目を感じる。

　今日は安めのスーパーに寄って、買い物をして帰ろう。

　今日は車で来たし、これからもできるだけ車で来たいな。

　そうすれば帰りの買い物も楽だし。少しずつ運転にも慣れなきゃね。





　「あれ、Aさんじゃん」

　「えっAちゃん？！」

　「げっ」


　何たる偶然。買い物しようとスーパーへ入れば、フードコートに我が青城の後輩たちがいた。

　そういえば、月曜日はオフだったっけ。


　「こんなところで何してるんですか」

　「買い物」

　「お母ちゃんみたい」

　「何それ」


　ワイワイと少し騒がしいフードコートの中で、身長の高い彼らは目立っていた。

　少し近付いて話せば、座りなよと促してくる。

　立ってても邪魔になるだろうし、お言葉に甘えて少し座らせてもらった。



　「君たちはここで何してんの」

　「デザート食ってます」



　そう言ってパピコを食べている花巻。

　え、それ２本目？ １人で２本食べてるの？ 贅沢……。



　「今日串カツ行ってきたんですよ、その流れで今ここに」

　「あーどうりで、臭い」

　「えっ臭い？！」



　串カツ屋特有の油のにおいが彼らの体に染みついている。

　私の臭い発言に皆自分のにおいをクンクン嗅いでいるけど、もう遅いよ。

　それに普段から汗臭いし。気にすんな。




　「ねえ、そんなことよりさー、あの練習試合の後大変だったんだよ！」


　露骨に、全くもうなんて怒ったフリをする。

　あの練習試合と言うのは烏野とやった練習試合だろう。



　「え、どうしたの？ 練習きつくなった？」

　「ううん、マネージャー志望が大量に来たの！」

　「あーーーね」


　ほとんど１年生が来たのだろう。

　私の代も、来たにはいいが内容を聞いて諦める子が多かった。

　実際、私がマネだったときも結構地獄だったし。

　部員は協力してくれてたけど、マネは私１人だったからね。



　「ていうかなんでマネージャー取らないんですか」

　「青城はよ、どの部もマネージャーは５人までって決まってんだけど、普通にそれ以上人が来るからその部で独自の条件つけてるの」

　「条件？」



　そう、流石私立と言ったところか。

　公立高校で入部制限があるとなったら、かなりクレームが入るだろうな。

　だが、この学校は私立だからね。関係ないみたいよ。

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