224 憧憬 ページ24
「うわー眠かった!」
「ねーもうこんな時間なんだ」
研修が終わり、16時を過ぎた頃。
久々の再会に2人でご飯に行くことを決めて、適当に店に入った。
「でも明日は午前で終わりとかラッキー! 午後休み取ろうかな」
「私そうするよ、それで春高の決定戦を見に行く」
「あー、もうそんな時期かー……」
「そう。烏野今結構強くてさ」
「烏野ね……私も1回だけ1年生大会で当たったことある。女子だけど」
「あれ、セッキーは高校どこだっけ?」
「新山女子」
「……え、強豪じゃん!」
「……そうなんだよね、公立の試験は落ちて滑り止めで受けてた新山女子行ったんだ。でも私てんでダメ。中学ではエースでも強豪では通用しなくて試合に出たのも1年生大会の1回だけ」
思い出すように苦笑いしながら話すセッキー。
中学時代は部内で一番上手くて、先輩を差し置いて出るときもあったのに。
そんな彼女でも強豪の中では埋もれてしまうのか。
何て声をかけていいか分からずにいると、藪から棒にセッキーは口を開いた。
「私ね今だから思うけど、Aってバレー続けてたら私より上手くなってたと思うよ」
「え……」
「毎日朝早く来て帰りも一番遅くてカギ当番引き受けて、ボトルもネットもボールも全部1人で準備して、誰よりも頑張ってたしさ素直でいい子で先輩にも先生にも好かれていて」
「……」
「私は変なプライドが邪魔して先生にも試合に出ていない先輩にも生意気な態度取って嫌われていたし、努力するAを見て焦りもしていたし」
「……」
「ごめんね、Aにも迷惑かけたし意地悪なこともしてた。それでも普通に接してくれて、ありがとう」
「何で、今そういうこと……」
「何でだろう……高校入って気付いたのかも。それでもAみたいに努力はできなかったから、中学生であそこまでできるAはすごかったんだなって思ったの。ごめんね、ずるいよね。……泣かないで」
「泣いてない……、ただ色々な感情が溢れてね、懐かしさと悔しさと私の事を見てくれていた嬉しさと……色々出てきちゃって」
「そういうとこは変わってないね。私はずっと、Aに憧れていたのかもしれない」
私自身の感情が追い付かずに涙が溢れる。
あの時の事を思い出しているのだろうか。
でも、3年越しにセッキーと友だちになれて良かった。
私も、セッキーに憧れていたんだよ。
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ペトリコール(プロフ) - 続きをぜひとも読みたいです!思い出した際にでも構わないので何卒! (2022年7月2日 23時) (レス) @page33 id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続き読めると信じてまってます! (2021年11月9日 17時) (レス) @page33 id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2021年5月11日 16時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りおん。(プロフ) - 一気に読んでしまいました!続きがとても気になります頑張って、作者様のペースで頑張ってください! (2021年3月4日 14時) (レス) id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - 若葉さん» お待たせして申し訳ございません。言い訳となりますが普段使用しているパソコンに虫が付いてしまいあまり触りたくなかったので更新してませんでした…。そして原作確認用の漫画にも虫がついていて触りたくない為これからも遅くなります…。 (2020年11月8日 1時) (レス) id: ade71013a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西 | 作成日時:2020年8月1日 11時