県立烏野高等学校、事務職員です。【５】

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――10月25日、春高バレー代表決定戦１日目




　今、私は烏野ではなく仙台の教育会館にいる。

　何故かというと出張だからです。

　出張は出張でも研修です。

　１年目ってどうしても研修が多いんだけど、何故大会日に被っているのか物申したい。

　しかも明日もあるっていうね、ふざけるな。

　その研修は１日をかけてやるので途中で抜けて試合を見に行くわけにもいかない。

　既に指定されている自分の席に座り今日と明日の日程を確認する。

　あれ、明日は午前だけ……ワンチャン行ける……！！

　しかも同じ仙台だから多分バスとか電車ですぐ行けると思うんだ。

　これは行くしかない。スーツでヒールだけど行くしかない！

　そうと決めればこの研修もやる気が出てくる。





　隣の席に誰か座った。名表を見てみれば関崎芳江という名前。

　ん……？ 見覚えのある名前……。



　「もしかして、A……？」

　「……セッキー？」

　「だよね！ え、こんなとこで会えるなんて！」

　「久しぶりだね！ セッキーも公務員志望だったんだ。４月の辞令交付式のとき名前呼ばれた？ 全然気付かなかった」

　「呼ばれてたよ〜、でも私もAがいたの気付かなかった！ Aも一緒で嬉しいなー」




　私の隣の子は、中学時代の同級生且つ女子バレー部のチームメイト。

　そして、当時は少し苦手だった。

　今は会えたことがちょっと懐かしくて嬉しいけど。




　中学、初心者で友だちと一緒にバレーを始めた私。セッキ―は経験者として入ってきた。

　練習も雑用も１年生として頑張った、けど同じ１年でも経験者として入った子には実力で追いつかなくて。

　雑用だけでも皆よりやらなきゃ、と頑張れば頑張るほど周りはそれに頼り準備も片付けもしなくなっていって。

　勝手に劣等感感じて結局中学でバレーは辞めたんだよね。

　でももし高校でバレーやっていたら男バレのマネージャーはしていなかったからそれはそれで良かった。


　それにあの頃は私も子どもだったと思う。

　今はもう私は私、と考えるだけで大分楽になった。

　他人と比べる必要なんてない、自分のできることをすればいいだけ。

　そう考えられるようになったのはつい最近だけど。




　「Aさあ、なんか綺麗になったね」

　「え、そう？ 嬉しい」

　「うん、何か楽しそう！ 輝いてるように見える！」

　「ふふ、確かに楽しいかも」

　「そういうとこ！ 大人っぽい！」

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