220 理由 ページ20
「……」
「スー……んぐ……」
車通りも少なく静かな夜道を走る。
体もたくさん動かしたし及川も疲れたのだろう、寝息を立てている。
音楽を流して窓を開けて風を感じながら車を走らせる。
横目で及川を見て物想いにふける。
まだ先だけど、きっと青城とは春高で当たるだろう。
前回は負けた烏野だけど、次戦うときは絶対……いやどうだろう。
烏野が成長しているのと同時に私の後輩たちも成長しているのだから。
しばらく車を走らせてナビが到着を告げた。
及川という表札を探し家の前に車を停める。
「及川、着いたよ」
「んん……」
シートベルトを外して前にずらしていたシートを後ろに直す。
私が起こしても及川は顔を顰めて寝ている。
私は普段コイツ以上に寝起き悪いから文句は言えない。
綺麗な横顔を見つめるとめっちゃ睫毛長い。
鼻筋も通っていて薄すぎず厚すぎない唇。
イケメンの通り名も伊達じゃないね。
思わず、及川に手を伸ばした。
いや、この手は何の手だ。
何をしようとしたんだ。
思い留まって行き場のない手が空中を彷徨っている。
「……」
とりあえず、頭を撫でてみる。
意外と柔らかい及川の髪の毛になんかムカついて、そのまま鼻をつまんだ。
「……フガッ」
「……ふふ、おはよう」
「……もうちょっと優しく起こしてよ」
「優しいじゃん、岩泉だったら殴られてるよ」
「……そうだね」
「ほら家着いたよ」
「うん、ありがと」
そう言ってシートベルトを外す及川。だが車を降りる気配がない。
「どうしたの？」
「……さっき何で頭撫でたのかなって」
「……起きてたんかい」
狸寝入りしてんじゃないよ君。
起きていたら別に頭なんて撫でてないし。
「何で撫でたの？」
「え……別に他意はないよ、お疲れ様ーていうアレ」
「……ほんとにそれだけ？」
「いや、うん……。え、逆にそんな理由なくない？」
「……うぬん」
「あ、影山くんもそれよく言うよ」
「トビオの話はしないでよね！」
「ほら、夜ももう遅いから早く寝なさい」
「お母ちゃんかッ！」
「そうそう、おやすみ」
「……おやすみ。じゃあね今日はありがと」
「こちらこそ、楽しかったよ」
何とか及川を車から追い出してその場から立ち去る。
「……何でかなんて私も分かんないし」
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ペトリコール(プロフ) - 続きをぜひとも読みたいです！思い出した際にでも構わないので何卒！ (2022年7月2日 23時) (
レス) @page33 id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続き読めると信じてまってます！ (2021年11月9日 17時) (レス) @page33 id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2021年5月11日 16時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りおん。(プロフ) - 一気に読んでしまいました！続きがとても気になります頑張って、作者様のペースで頑張ってください！ (2021年3月4日 14時) (レス) id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - 若葉さん» お待たせして申し訳ございません。言い訳となりますが普段使用しているパソコンに虫が付いてしまいあまり触りたくなかったので更新してませんでした…。そして原作確認用の漫画にも虫がついていて触りたくない為これからも遅くなります…。 (2020年11月8日 1時) (レス) id: ade71013a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西 | 作成日時：2020年8月1日 11時
