県立烏野高等学校、事務職員です。【５】

219　土産 ページ19

「いやー遊んだね」

　「遊んだ遊んだ」



　夏とはいえもう外も暗くなる時間。

　晩御飯も５人で食べ満足も満足。

　あまり遅くもいられないからそろそろ帰る雰囲気は出ているのだが……。

　実は今日車で来ちゃったよ……及川送るつもりだったよ……４人乗りだよ……。

　１人乗れないよ……。



　「明日も部活だからなーそろそろ帰る？」

　「そうだね、Aちゃん他に見たいとこある？」

　「いや大丈夫……あ、そうだ」

　「ん？」



　危ない忘れるところだった。

　渡すと約束していた東京土産。

　バッグからブツを取り出しジャンと見せる。



　「東京土産でっす！」

　「トーキョー！！」

　「何ですかこれ」

　「いかみそクッキーです」

　「いか、みそ……？」

　「何でいかみそ……」

　「東京でしょ……？」

　「美味しいんですかそれ」

　「自信はない。ちなみに職場にはいかみそ饅頭を差し上げた」

　「もっとヤバそうだった」

　「苦笑いしてた」

　「でしょうね」



　でも試食したときは結構美味しかったんだけどな。

　とりあえず及川に押し付けて明日配るように伝えた。

　先輩がせっかく買ってきたんだ。ありがたく受け取れ。



　「じゃ、帰りますか」

　「おう、駅方面て出口どっちだっけ」

　「あっち」

　「あ、ごめん私車なんだよね」

　「え」

　「かっけー乗りたい」

　「残念ながら４人乗りなんスよ……」

　「及川トランクな」

　「絶対イヤッ！！」

　「ははっ冗談だよ」

　「俺らは電車で帰るからさ」

　「えっ」

　「じゃーな及川。Aさんお疲れっス」

　「送ってやれなくてすまないね」

　「いいえ。楽しかったですさよなら。及川もバイバイ」

　「失礼します」

　「バイバイ。気を付けてね」

　「ばいばーい」



　花巻たち３人と別れ及川と２人に戻る。

　まああとは帰るだけなんだけど。



　「及川、帰ろ」

　「うん」



　楽しかったあとの別れってどうしてこうも惜しいのだろう。

　仕事とか抜きで、ただの先輩と後輩の関係でいられるのってやっぱりお前たちだけなんだよ。



　「なんかAちゃんの車乗るのドキドキしちゃう」

　「事故ったらごめん」

　「そういうドキドキじゃないよ？！」

　「及川住所教えて」

　「えーとね」




　住所をナビに入れる。寝ててもいいよと言って車を発進させた。

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