雪白兄弟Ⅱ (ページ34)

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蓮side続きページ34

今日は1時間目から数学。亮平兄ならテンション上がっただろうけど、あいにく俺は勉強が嫌いなので(特に数学)、今の気分は曇り空だ。しかも先生が…｡

数先「起立！(大声)」

この数学の先生、今年からこの学校に赴任してきた。
ザ･昭和の熱血漢って感じの先生で、話すときはいつも大声。これが嫌だ。

数先「出席とるぞー！」

耳がキーンとなる。この補聴器は殆どの音を拾うタイプなので、たくさんの音が入り交じったり、急に近場で大声を出されると、耳が痛くなる。
しかも、俺は耳が聞こえにくいという配慮で席はいつも1番前の教卓のすぐ近く。なので、常にうるさい。補聴器を外したいけど、授業を聞けなくなるので、そういう訳にはいかない。ほんとにどうすりゃいいんだろ？

数先「…しろ！雪白蓮！」

考え事をしてたらさらに大声で先生が言った。耳の痛みに耐えきれなくなり、思わず耳を塞いだ。

数先「何してんだ！」

そりゃ怒るよね。でも、しょうがない。耳が痛くてそれどころじゃないもん。

生徒1「先生。もうちょっと声のボリュームを下げて貰えませんか。」

俺の事情を知ってるクラスメートが代わりに言ってくれた。

数先「それはすまん。」

先生は少しだけだけど、声を小さくしてくれた。

家に帰る前に、空雪総合病院に寄る。ここには俺の信頼出来る言語聴覚士がいる。

「三宅さん、お久しぶりです。」

三宅健さん。俺の小さい時からお世話になってる言語聴覚士で、俺に手話を教えてくれた人でもある。

三「珍しいね。君の方から連絡をくれるなんて。」

「最近、耳が痛くて。」

三宅さんと対面で座る。

三「それは、僕じゃなくて、耳鼻科の先生に相談したら？」

三宅さんはそんなことを言ってるけど、大体話を聞いてくれる。俺は、昼間あったことを話し始めた。