六ツ石兄弟 (ページ22)

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北斗side ページ22

今日は空手の稽古のついでに聞きたいことがあるんだ。

「師範、相談したいことがあります。」

って言うと思ったのに、ちびっ子たちに群がられてる。師範、会長さんなのに、鼻にかけてないし、子ども好きで明るくて優しい性格なのもあって親御さんにも人気だからな。最近、ますます道場生が増えた。

師「ああ、北斗。もうちょっと待っててくれ。俺は、子どもたちを見送って来るから。」

「はい。」

俺がこの道場に入門したのは三歳の時。テレビで見たオリンピック選手に憧れて、拙い口調ながらも父親を口説き落とした。この道場は家から少し遠くて、いつも優吾に車で送って貰ってる。近くに空手道場がないんだよね。それに、熱心でそれでいて優しいって有名だったから。噂通り師範はとても優しい人だ。俺が試合で負けて泣いてた時、励ましてくれた。

師「ごめん、待たせたな。」

と、物思いにふけっている間に師範が戻ってきたみたい。

「相談したいことがありまして。」

師「なんだ？」

「僕、高校三年生です。なので、進学しようと決めたのですが、何一つ志望校が決まっていなくて。僕にはこれと言った夢がなく、取り柄は空手のみ。それに、空手は本当に大好きなんです。一生続けたい。なので、大学でも出来たらなあって。もし何か知っているようなら、どこかいい大学を教えてくれませんか？」

師範は空手連盟の会長。何か参考にアドバイスをくださるかも。

師「お前は空手が好きか？」

「いえ。大好きです。」

もう好きなんてもんじゃない。大好きに気持ちが変わった。

師「ハハハハハッ！」

師範は豪快に笑う。そういえば、笑い声めっちゃでかい人だった。

師「そうかそうか。大好きか。ならば大丈夫だ。その熱意があればどんな大学でもお前は才能を生かせるだろう。だがしかし、一応少しだけ紹介しておくよ。ちょっと待ってなさい。」

そう言うと師範は奥へ。