今回の天女様は随分と警戒心が強い

5 ページ5

･



･



the☆怪しい。

恨み節を吐きたいのも文句を言いたいのも、むしろこっちだ。
事情を説明されずに勝手に「着いてこい」なんて言われる。
じゃあ、ついていくなよって?
山の中で(もしかしたら)永遠に彷徨いたいんですか、一人でやっててください。



立花「な"、私達が怪しいだと……!?」

『むしろどこが怪しくないんです?
気づいたら知らないところにいて、何の説明もされずに着いてこいと言われて他に方法がないから着いていけば、悪者扱いとかふざけるのも大概にしてください。』


悪質商法もこんなことはしない。
……多分。


『ここまで連れてきて下さったのは感謝しますが、してもいないことで責め立てられるのは不愉快です。
人里へ下りる道を教えてください。そこからは自分で行かせてもらいます。』



こんなに大きい建物があるなら、人里も近いだろう。
周りの野次馬っていうか、子ども?も多いし、食料面を見てもある程度の近さにはあるはず。


田村「道は門を出て、左に行けば……」

立花「田村、教えても無駄だ。おそらく気を引くための行為だ。それに……」

『左ですね、分かりました。』

なんだかコソコソ話を始めたけど、スルー。
門ってどこだろう。とか思っていたら真後ろにあった。
門についてる小さなドアみたいなのがある。
大きい門は開かないだろうけど、小さい方なら開くかもしれない。



『では短い間でしたがさようなら。次はお会いしたくないですね、お互いに。』


立花「あ、おい、待て!!」


呼び止められても、無視だ無視。
早くこの空間から出ようと小さなドアに手をかけた。


途端、指先から頭にかけて鋭い痛みが走った。



『っい"!?』



痛みで意識が遠のく。
ああ、地面とごっつんこだなこれ。


しかし予想に反して、体は柔らかく包まれた。
緑がかった黒髪に目がいく。
随分と幼い子だな、わたしを支えられたのか、なんて思っているうちに意識は完全に暗闇へ沈みこんでいった。


ーーーー

6→←4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す