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きれいな男の子についていくこと数十分。いい加減、黙って歩くのに飽きてきた。
しかし、容易に話しかけようとは思わない。もしかしたらこの人が、ここにわたしを連れてきた犯人か、その仲間かもしれない。
いらないことは言わない。余計な情報は極力教えない。これ大事。
冤罪で捕まったときとかに使っていいよ。
「お疲れですか、天女様。」
『いえ、大丈夫です。』
「お手を引いても?」
『やめてください。わたしは大丈夫です。お気遣いいただきありがとうございます。』
「…そうですか。」
少し強めに断れば、男の子はすごすごと引き下がってくれた。
かなり失礼かもしれないけど、最初からこう言っておけば後々同じ質問はされないだろう。
しょうがない。
背に腹は代えられないってね。
それから数分歩くと、視界の開けた場所に出た。
目の前には大きな門があって、塀もあって、まるで時代劇で見る武家屋敷だ。
「天女様、失礼します。」
『え?って、うわぁあああ?!』
ふわりとした浮遊感。ジェットコースターというよりもエレベーターに近い。
どっちとも平気だけどさ。
思わず悲鳴が上げて、誠に不本意ながら男の子にしがみつかせてもらう。
誠に不本意ながら。(強調)
だって暴れたら死ぬじゃん?下手したら男の子もケガするかもしれない。
他人の責任まで取りたくないから、今回ばかりはおとなしくする。
…あとで、入念に体を洗おう。男の子にも体をしっかり洗えよ、って言っておこう。初対面でも、他人を死なせるわけにはいかない。
ーーー
田村三木ヱ門side
色気のない悲鳴をあげたあと、何かを思い出したようにスンッと黙る天女様。
その後、能面のような表情で私にしがみついた。
「ごめん、兄さん、ごめん。不本意なんや、嘘やない」と、ぶつぶつ呟くのは少し引いた←。
それより、不本意ってなんだ!?私に触れられてうれしいと思うのが普通じゃないか!!
『…人間ジェットコースターはもう勘弁。』
地面におろしてやると、意味に分からないことを言う。そのあと、思い出したように「地面だ...!!」と子供のようにはしゃぐ姿が、わたしの誘いを一蹴したときと比べてずいぶん違って見えて面白い。
…危ない。出会って早々ほだされるところだった。
「天女様、つきました。」
『着きましたって一体どこに…。』
「ようこそ、忍術学園へ。思う存分、苦しんでいってください。」
恨み節を吐けば、天女の目が大きく見開いた。
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うりよ - 兄がむ、村田さんだとお?!!!! ムフフ(( (2020年3月30日 16時) (レス) id: 21c35aca73 (このIDを非表示/違反報告)
シオン・ユーミ(プロフ) - 続きは? (2020年1月31日 12時) (レス) id: 3798702d32 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 鬼滅の刃も入ってますか??関係なくてもなんだか村田、キメツ学園などのワード聴くとテンションを、上がってしまう!!この作品すっごく大好きです!夢主ちゃんの設定の好きなの綺麗な女の人であ、この子好きだわ…って勝手になってました笑これから頑張ってください! (2019年10月10日 10時) (レス) id: 181cea1ef2 (このIDを非表示/違反報告)
こここここあ(プロフ) - 藍莉さん» コメントありがとうございます!!こんな作品を好きだと仰って下さりありがとうございます!!鬼滅云々は後々明かされるかと……。再度になりますが、コメントありがとうございます!! (2019年9月22日 22時) (レス) id: a8b6e7e105 (このIDを非表示/違反報告)
藍莉 - もしかして、鬼滅の刃も入ってますか?それだったらサイコー!あ、でも鬼滅の刃が入ってなくてもこの作品は大好きです!!応援してます! (2019年9月21日 20時) (レス) id: 6fc3f2eff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こここここあ | 作成日時:2019年8月24日 4時