今回の天女様は随分と警戒心が強い

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『う、ううーん……ッハ!!』


頭、痛い……。


意識を浮上させれば、いつの間にか屋内にいた。えっと、気絶でもしてしまったのかなぁ?
それとも毒でも盛られたんだろうか。



もしかして、今、縛られてる……!?

布団をめくって、急いで起き上がる。
予想に反して、機敏に動けた。
よかった……、毒や薬を盛られた後にしては頭は冴えているし、体もだるくもない。
縛られているとも危惧したけれど、自由に動かせる。



『……怖くない怖くない。』



改めて一人になると不安が波のように押し寄せてきた。
初めて感じる寒いほどの孤独。
誰も知っている人がそばにいないなんて、いつぶりだろう。
常にそばに兄さんや友人たちがいたということが、如何にありがたいことなのかを痛感した。


怖いのは少年が見た幻想。
痛いのは少女の泡沫の夢。
胡蝶の夢の真偽は見えず。



大好きな先輩に教えて貰った詩。
口の中で何度唱えても、心を苛む孤独は消えない。



しとしとと雨が降ってきた。
部屋の窓から眺める夕立に近いそれは、尚更わたしがこの世界で一人きりなのだと思わせる。


ああ、なんという孤独。
兄さんの暖かい手が恋しい 。
友人たちの優しい眼差しが愛おしい。

孤独、 孤独、孤独。



『……にい、さん。』


いっその事、わぁーっと泣きたい気分だった。それでも、緊張で凝り固まった心は泣くことを許さない。
泣けないせいで、心臓を硬い紐で締め付けられるように胸が痛かった。





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まよいこんだ こすずめは
なけずに そらを ながめるのでした

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